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どこが知的産業なんだ

 日書連加盟書店の減少はもとより、名だたる老舗も含めた中小書店の廃業増加が深刻さを増している。

 数々の要因からなる活字離れや、競合出店などによる売上げ減。それによる取次会社への焦げ付き、配本の減少、リストラ・・・。いまこの悪循環から抜け出せる感じがしない。

 取材をしてても、書店の方の口調は徐々に強く厳しくなっていくのがわかる。

 そもそも経営が悪化した要因の一つには書店外商部門による割引き販売と、未回収の不良債権化がある。そんなケースによく出会う。外商分野の値引き率は5〜15%が主流のようだが、書店によっては最大20%超という場合もある。

 それで一体いくら残るの?って感じだが、出版社からのバックマージンで商いにはなっているという。

 再販をなんとしても崩してはならない、と声高に叫ぶ日書連、各県組合の姿とはおよそ対極の現実がそこにあり、廃業または経営不振の元凶を自らがいまもつくっている。

 また、図書館への納入についても同様で、書店の割引きは日常的に行われている。そこにきて、大資本の流通会社が装備付きで15%引きを掲げてくる。

 これにはもう地元書店はなす術をなくし、手を引くことになる。

 業界が地域の書店を守って、支援策を講じようとしているにも関わらず、これでは潰しにいっているとしか思えない。

 ポイントカードの1%を巡る議論もなにか空虚なものにさせ感じてしまう。

 業界内取引での過度な競争が、書店をひっ迫させ、読者サービスができない環境をつくりだしている。

 今回はもうちょっと言わせて頂くが、さらに言えば、書店の新規出店にしても、どう考えても採算がとれない家賃・立地条件の地に“赤字覚悟”の店を出す。

 それも地場の書店と同じ取次会社の帳合で市場制圧を図ってくる。

 地場の書店は取次会社に事情を求めるが、胸の内の本当の怒りはみせない。

 「ヘタに手を出すと敵視されますから」と。

 取次会社にも予算やノルマ、目標みたいなものはあるだろうし、経済活動を進めていく各々の事情はあるだろう。

 「市場が求めているものに応える」という大義に正当性もあるだろう。

 しかし、そこに出版社も含めた適正な将来像が議論されているのか。

 どの都市も大型書店ばかりで在庫過多となり、地方にはコンビニエンスストアしかない。あとはネット書店でフォローしよう。そんなバカげた日本になりはしないのか。

 それよりなにより、地域の書店の犠牲のうえに成り立つ出版界のどこが知的産業なのか。

 私の特に親しい書店の方が本当に悩んでいらっしゃる。努力もしているその書店を支援できないようでは、この業界も大したことはない。

 また、すごく西の方で、沢山本を売り、表彰までされている書店の方が、「もう書店を辞めたい」と私にこぼした。

 それを引き止めるのに夜中の3時まで話を尽くしたが、もう私一人の力ではどうにもならない。

 なんでそういうことになるの―。

 だから深刻なのである。

 

編集長 丸島基和

(2005/7/13)

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