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集英社の「距離」

 集英社の山下秀樹社長は不思議な方だ。まわりの空気を変えてしまう力がある。

 6月6日、285書店を招いて行った集英社販売賞では、創業80周年を間近に控え、お祭ムードに包まれていたが、自社については「がさつで、荒っぽくて、おっちょこちょいな会社です。書店とこれほど距離のある出版社はないでしょう」という。

 帝国ホテルのすごく立派な広い部屋で、全国の名士といわれる書店の社長や、七大取次の社長が参席し、80周年のお礼をいうべき場でのスピーチでそう言うのだ。

 しかも、張りのある滑舌のいい、アナウンサーみたいな声ではっきりと。
そして続ける。

 「だから、発展の余地がある若々しい会社だと思いたいのです」「80年といえば成熟や完成というイメージですが、チャレンジ精神があれば皆、青春真っ只中です。若々しい集英社をご支援下さい」

 創業からの過去を振り返るでも、厳しい出版界を総評するわけでもなく、これからの挑戦を期待させるそんな挨拶だった。

 過日行われた大阪屋友の会連合大会の懇親会では、「この三重・伊勢志摩は私と妻が手をたずさえて新婚旅行に来た地。40年間夫婦をやっているから、この地で40回目の総会をするのは正しい」と挨拶。
これで壇から降りてしまった。

 会場はドッと沸き、書店人の心を掴んでしまったようだ。

 山下社長は昭和18年3月生まれ、63歳。静岡県出身で「明星」など、もともと編集畑の方らしい。

 前述の「書店との距離感」は、おそらく営業・促進やとくにコミックスの注文対応のことを指していると思われるが、それはひと昔前のことである。

 当社や矢野経済研究所の書店アンケート調査では、「営業・注文の対応」は出版社のなかでも上位にきている。以前は書店にとって雲の上の出版社だったことを知っている山下社長は敢えて“距離感”を口にして、雲の下に来たかったのかもしれない。

 もう何年前なのかも忘れたが、同社・奥脇三雄氏(当時次長?)と山下社長(同取締役)と飲んだことがあった。
そこでもやはり、書店現場のことを気にしていた。

 
いま改めて、山下社長を身近に感じたのは私だけではないだろう。

 

社長 丸島基和

(2006/6/14)

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