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横暴なルール

 ある大手製紙メーカーが代理店に対して出荷価格の10%アップを決めたことで、他の製紙メーカー各社が紙の値段を一斉に上げる見通しになったという。

 書籍・雑誌の印刷用紙などの紙の値上げは、原燃料価格の高騰によるもの。しかし、10%程度まで一気に上がった場合、出版社または読者に至るまでの流通段階で、様ざまな影響があると予想される。

 単行本ではその度に原価計算され、定価に上乗せする可能性もあるが、雑誌やコミック、週刊分冊などのシリーズものでは、このご時世、10円の値上げもできないだろう。

 コストの増加は、あのミートホープの社長じゃないけど「大変なこと」なのだ。

 大変なのは印刷会社もそこに卸す業者も皆同じで、出版社と板挟みになったこうした方々の今後が少し気になる。


 そういえば昔、ある印刷会社の社長さんと出版社の方と同じ車でゴルフ場に向かう途中、利益のでない赤字覚悟の仕事を請け負わなくていけない事が多々あることを教えてもらった。

 雑誌、単行本、文庫、ムックなどで条件は違っているが、発注された案件を断ると全ての分野でその出版社の仕事がなくなる危機感から、やらざるを得ないという。

 ある印刷会社の社長が、ある出版社の社長とゴルフをやっていたときのこと。
 「このクラブ、いいねえ」と言われ、その翌日にフルセットを届けたという。
 また、「このウェア、いいねえ」と言われたら、何となくサイズを聞いて、また届けるという。それが暗黙のルールだったという。

 その出版社の社長は、明らかに「優越的地位の濫用」で公取委の人に叱ってもらわねばいけないのだが、それを繰り返していたらしい。

 印刷会社の社長は、結局その出版社との取引きを止めた。

 いまはもう昔の話ではあるが、印刷会社の営業はいまも大変なのであろう。


 その後、いくつかの印刷会社に取材をさせていただいたが、いまだに手作業で製本しなくてはいけない本も沢山あり、帯など付きものの手配も大変。

 その現場を目のあたりにし、出版社の横暴さを耳にして、低価格設定の読者利益など簡単に口にできない複雑な気持ちになった。

 

社長 丸島基和

(2007/6/22)

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