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余りにも悲しい倒産

 この3連休を利用して、地方にある書店の元経営者を訪ねた。「元」と書いたのはその書店が先だって倒産したからである。

 恥ずかしいがその書店にはまだ1度も足を運んだことがなかった。こんなことになってから、出向くのもどうかと思ったが、ひょんなことから社長とお話をする機会に恵まれた。

 いろんなことがあり、いまはその書店名を明かせないが、その社長は私を自宅に招いて自己破産するまでの経緯を丁寧に全て教えてくれた。

 当日は「オフレコ」が条件だったが、特別にメモをとらせてもらった。その内容は余りにも壮絶で、悲しく、また行き場のない怒りや悔しさも感じるものだった。

 その本店について、「自分の家と同じぐらい大事なものですよね」と私が言うと「・・・、命にかえても守ろうとしました」と切り返された。自らの財産を投げ出し、店をどのように延命させてきたのかを聞き、軽率な発言と思い知らされた。

 社員の話になると、声を震わせて言葉にならない社長。「なんでこんなことを私に話してくれるのだろう」「東京からきた私にサービスしてくれてくれているのか。オフレコでも書け、と言っているのか」

 その社長はまっすぐな人である。これまでの経緯をただ正直に話しているだけで、それ以上のものはない。途中でそう思い始めた。

 駅で待ち合わせしてから、あっという間に4時間がたってしまった。話は尽きない。出版社のこと、お得意様のこと、いま社員がいい職について活躍していること。表現が正しくないかもしれないが、楽しそうに話してくれた。

 東京にいて判らないことも沢山教えていただいた。
 帰りの車中、カバンから取材メモを取り出してみる。廃業してなお、情報を公にできない書店の立場に、問題の根深さを感じた。

 

社長 丸島基和

(2007/9/25)

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