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山形のホーンテッドマンション

 「空気」を活字で伝えるのは難しい。
 先日、移転増床した八文字屋北店のカルチャーシネマコンプレックスを取材したが、このちょっと高揚した感じをどう書けば伝わるのだろう。


 書店と映画館が融合した商業施設はこれまでショッピングセンター内でいくつか見てきたが、単独店としては日本初。500坪の北店の中は天井が間接照明であるけれど、照明付きの棚などがあちこちに配置されていて眩しいくらい。デパートの化粧品売場みたいだ。

 10スクリーンをもつシネコンの入口は書店からエントランスホールを抜けてすぐ。なかは真っ暗でシアターの室番を示す「1」「2」「3」…のサイン以外明かりがない。真っ暗闇の館内が書店の中にいながら見える。

 そのシネコンにはディズニーランドのホーンテッドマンションに初めて行った時のようなワクワクした感じがあるのだ。なんか吸い込まれそうな非日常的な空間である。

 実際、中に入ると有楽町の映画館よりも豪華なシート。取材なんか止めて、映画を見たくなるのだ。ポップコーンにコーラも売ってるし、ゴールデンウィークで天気も最高。せっかく東京を離れて来たんだから……。

 「おーい、早く来いよ!」
 五十嵐太右衛門社長の声で思いっきり現実に戻され、取材再開。

 総工費20億円。プロデュースした五十嵐社長の感性も凄いけど、6年前からの夢を現実にする資金調達の力にも感心させられる。

 だいたい普段から映画なんて見ない。出版社や取次会社の方からはよく「映画ぐらい見ないとダメだ」と怒られているが、仕事の後に行けるはずもない。

 100円高くてもやっぱり有楽町で見たいから、時間的に間に合わない。
 そう、私は映画の内容と同じぐらい見る場所にこだわっているのかもしれない。

 五十嵐社長が言ってた「お客さんが何を望んでいるのか、わかるか」という言葉とあの豪華な巨大商業施設はそういうことかと勝手に思う。

 CD、DVD、文具、ゲームと映画、そして本。この北店が書店メディアミックスの集大成であろうと思いきや、五十嵐社長はそうでもなさそうな返事。


 あの照明棚と商品陳列、シネコンの演出は編集者にも見てほしいなあ。そういう空気ってどう書けばいいんだろう。文才がなさ過ぎだ。いや、それでも書くんだけど……。

 

社長 丸島基和

(2008/5/7)

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