出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ 出版業界 専門紙 新文化

三種の神器とクリスマス

 ある大学生協が「店頭で売れる商品」を調査したところ、お菓子、アクセサリー、ダイエット食品、書籍などがあがった。ランキングは正直、よくわからない商品の名前ばかりであったが、それを総括する関係者によると、要は「食べたい、痩せたい、モテたい」ものが上位にきているというものだった。

 「売れ筋はこの三種の神器です」。これがそのまま、いまの若者の消費実態であるかどうかは分からないが、書籍についても教科書のほかは、ほぼ同じ内容のものであると分析している。

 その書籍売場では、これまでの固定観念を捨て、これをテーマにより楽しくて内容の深い本を品揃えすることになった。もちろん法律書やスポーツ医学書など堅い本もあるわけで、学生のライフワークと本の関係を結ぶ。その関係者の声は弾んでいた。

 それにつられて私も楽しくなって話しは2時間を超し、終電近くになった。

 思えば、この人とは何年のお付き合いになっただろう。書店の店長時代、クリスマスイブに閉店を迎えた日のことを思い出す。華やかなネオンやクリスマスソングが流れる街でその夜に店を閉めることになった。12月23日が文具の一番売れる日であり、その翌日に閉めろということになったという。社の決定とはいえ、残酷なことをする会社だ、と怒りも覚えた。

 24日夜の8時過ぎ、仕事を終えた私は店の前から店長の携帯に電話し、「応援に行きます」と言ったが、「スタッフも頑張ってくれている。こんな姿は君に見せたくないんだ」と頑なに拒まれ、電話を切られた。入口は空いていたが、私はそのまま帰った。

 その人がまた私の前で笑っている。それだけで良かった。本に携わるその楽しさを私に教えてくれている。

 クリスマスになって煌びやかなネオンを見るとトラウマみたいに思い出してしまうのだ。三種の神器で儲けてほしいと思った。

 

社長 丸島基和

(2008/12/23)

バックナンバーへ

購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社