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古屋社長の決意表明

 5日に出社し、業界関係者に挨拶回りしても、良い話しは何もない。年明けから「派遣切り」のニュースは毎日流れ、政局は揺らぎ、殺人、強盗、放火まで・・・。

 「製紙会社の生産ラインが止まっている」「全国紙の全5段広告が20万円で売りに出ている」「東京で静止画像のテレビCMを初めて見た」など、「経済活動が一気に崩れた」と業界関係者は不安の表情を隠さない。

 そんななか、1月7日に行われた日販の「新春を祝う会」は昨年よりホテルの会場を拡張し、それでも身動きがとれないほどの人出で賑わった。午前10時の開場から1時間後には2000人突破が確認できた。

 登壇した古屋社長は、年末年始、POS店約1600店の売上げ調査を報告。「金融機関の自由化は行き過ぎた」と苦言を呈し、出版界においては40%、50%の返品率で推移する現状に危機感を表す。

 「これまで再販と委託制度が業界の繁栄を支えてきたが、特に委託は行き過ぎた仕組みになっている」「取次会社は膨大な返品作業に追われ、出版社は在庫を持ち、書店は利益が薄いまま」「これから少しずつ買切りに手を付けていきたい」

 古屋社長は100年間にわたって運用し、空気のような存在だった委託制度を「業界の誰も幸せになっていない」制度として構造改革の必要性を訴えた。

 新年の挨拶でここまで踏み込んだ挨拶は異例中の異例である。おめでたい雰囲気はそこになく、息を呑むような緊張感があった。

 会場ではその後、日販の幹部の方と「注文品や延勘の返品」について話したが、「注文買切」「延勘買切」という業界用語から「買切」の2文字が消えて使われるようになったことから話しは始まる。

 しかし、注文品が本当に買切りになった場合は「書店のリスク」が余りにも大きく、最低40%程度のマージンが必要であるシミュレーションまで話しが発展。現在、委託と注文の比率は1対1.5。出版社の返品がどこまで減少すると正味改訂が可能なのか。返品率1%の減少で5億円以上の利益がでるといわれる大手取次会社。システム投資などのコストを含めてどのくらいの効果があるのか。

 30秒おきに挨拶するようなあの賑やかな会場では、全く頭が回らなかったが、その幹部の方なら当然、いろんな改革案が整理されているのだろう。

 新年会の主催者が笑わないで挨拶をした。これは脱・委託の決意表明である。この業界がいま本当に変わろうとしていると思った。

※関連記事:日販、古屋文明社長が「委託から買切りへ」

 

社長 丸島基和

(2009/1/7)

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