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「自己破産と民事再生の出版社」

 雄鶏社の自己破産には正直驚いた。これほどの出版社であれば、事前になんとなく情報は入ることが多かったが、今回はあまりにも突然だった。武内英昭社長とはもう何年のお付き合いになるだろう。営業部の五木田一太さんはじめ、公私にわたりお世話になってきた。

 私がサンヤツ営業していた駆け出しの頃から業界の慣習など、いろんなことを教えていただいた。数年前にトーハンの並びにあった本社ビルを売却した時に、業界の一部から同社の不安情報が流れ、武内社長はその対応に苦慮されていた。

 そのことによる返品の影響があることは言うまでもなく、新文化の紙上で何らかのアクションをとりたいという相談があった。しかし、それが逆効果になる恐れもあり、私は乗り気になれなかった。いま思うと複雑な気持ちである。

 時代とともに手芸をする人が減り、読者が減っていた。しかし、低価格の「きっかけ本」シリーズや新規事業には意欲的で、社をあげて拡売に臨む姿に応援したい気持ちは大きくなっていた。

 昔からの恩を返せないまま、いまはもう同社の誰とも連絡がつかなくなってしまった。書店・出版社の方々も皆心配しているが、こんな時に何ができるわけでもない。ただ、日常の仕事に戻るしかない。なぜ民事再生にしなかったのかも分らないまま・・・。

 3月30日、民事再生を申請したのは直販誌「いきいき」で有名なユーリーグ。ピーク時には43万部を発行していた会社である。別冊カタログ誌で通販事業も開始したが、倉庫管理やコンピュータシステムのトラブルから購読者は19万人になっていたという。それでも凄い出版社だ。

 しかし、ユーリーグの代表は同社の資金で株式投資を進め、本業に大きな穴を開けた。金融機関の反対を推しきり、指導があってからも、同社から代表が資金運用を委託するかたちで投資を続け、代表への貸付額は31億円にまでのぼり、負債は約65億円になったという。

 代表の私利私欲から債権者の信用は完全になくなった。債権者説明会では「会社を私物化するな。自分の会社なら何をやってもいいのか」と罵声が飛んだという。それでも民事再生。営業は継続するらしい。

 企業は生き物と言われるが、なんか釈然としない。汗をかいて書店にプレゼンをしていた武内社長の姿を目の当たりにみてきた私には雄鶏社こそ再生してもらいたい企業であると思う。

 

社長 丸島基和

(2009/4/21)

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