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ポイントの「サービス」

 ある出版社の方いわく、「雑誌をたくさん売る書店」に共通していることが3つあるという。それは(1)ポイントサービスの実施店、(2)自主仕入をしている、(3)売れ筋の情報交換ができる人脈ネットワークがある――ことだそうだ。

 ポイントサービスは「値引き行為」の観点から日販とトーハン、2大取次の再販の解釈や見解が少なからず異なっている。それが書店経営者の判断に強く影響している側面もある。書店では薄く固定した書店マージンがさらに圧縮してしまうことや初期・ランニングコストも課題としてある。それにも増して定価販売の踏み絵を前にためらいがある。

 現在、書籍・雑誌で同サービスを導入する店舗は推定1000店舗弱といわれいてる。書店数がおよそ1万6000店であることから全体の6%程度。全体からみれば一般的に普及しているとはいえない。展開する形態はチェーン店全体や書店の団体・グループ、商業施設で実施に準じたもの、単独店でのオリジナルなど――ポイント付与率や運用手段は様ざまだ。売上げ効果はあるようだが、一方で2年目の伸長率が課題という書店もある。

 数年前から実施しているある中小書店では、スタンプ式のカードを作っていまも展開中。1000円毎にハンコ1つを押して、満数になった時点で割引くもの。

 しかし、実際は1000円に満たない購入や、雨の日に来店した時など店長やスタッフの個人的なサービスで捺印もする。読者との距離感で臨機応変に“ポイントサービスのサービス”をしている。それに恐縮した来店読者は週刊誌をもう1冊買っていく。サービスされたお客さんとスタッフの間には笑顔が浮かぶ。こんなことが日常らしい。

 また、そのカードの裏には読者の名前が記されており、レジに立つスタッフがお客さんの名前を覚え、コミュニケーションがとり易くなるメリットもあるという。購買履歴を分析したCRMやら店舗商圏のマーケティングなど、小難しいことは一切しない。それでもお客さんが喜んで買って行くことで地域密着型を実感でき、やりがいが沸いてくるという。

 2大取次以外には中堅取次会社がこうしたポイントサービスに柔軟な考えを示してもいるが、これまでは、いや今も静観しているようにもみえる。

 こうしたなか、ある大手書店でもポイントサービスの導入に本腰を入れて検討を開始した。さきの出版社関係者が言う通り、雑誌または書籍での増売要因に同サービスが基盤として実在する事実を認識し、腰を上げた格好である。

 ポイント付与総額の会計引当処理や、他産業とのタイアップ事業、再販問題への大義などの課題もあるが、それでもいま来店する読者に本を届ける使命とは引き換えには出来ない。そんな思いが伝わる。

 

社長 丸島基和

(2009/7/31)

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