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不況と万引き、その壮絶な闘い

 NPO法人・全国万引犯罪防止機構がセルフ販売小売業を対象にした万引被害の実態調査(924社対象、324社回答)によると、各社平成20年度期中、確保した万引き犯は4万2696人で、その件数は5万4233件。推定ロス額は1325億円となった。

 小売業者の4割が「万引き額が増加している」と答え、その要因として(1)「不況」、(2)「将来不安」、(3)「マイバック」を挙げている。また、高齢者や主婦などによる犯行が増えているのが特徴だという。

 驚いたのは小売店側で犯人を捕まえた後、警察への届出を負担に感じていること。それは通報した従業員の52%以上が1時間以上も警察に拘束されているからで、精神的にも作業効率的にも支障があるからだ。

 小売全体の売上高135兆円のうち、自動車販売などを除いた一般的なセルフ販売小売業の売上高は45兆円。同機構では万引きの推定総額はその1%としても「4500億円はあるだろう」とみている。

 国では本来、支払われるはずの消費税や法人所得税などがある、と判断して現在、警視庁が動き始めている。まずは万引犯1050人の事情聴取を公開しながら、凶悪犯罪に発展しやすい万引きの防止を呼びかけている。

 万引きに最も効果があるのは、店側と顧客のコミュニケーションだそうで、一声運動をしている商店街では万引きの発生率が極めて低いことが検証されている。この調査では、中古書店の進出によって増加する新刊書店の被害にも触れているが、その一因としてネットオークションの存在を指摘している。

 「このNPO法人の会員に日書連も入っているんだなあ」なんて思っていた時、書店新風会の会報誌「新風」8月号が手元に届いた。そこには自由書房・鷺山店の馬渕洋高店長が万引き犯と格闘した衝撃的なレポートがあった。

 万引きされた本がネットオークションに出品され、同日、岐阜県内から出品している人物が犯人と確信した店長。それを落札して入手した本からパッキングした自分の指紋を検出し、警察と闘う。落札時に分かった住所から犯人の車種を突き止め、駐車場を監視――ついに現行犯逮捕に至った。

 物凄い執念がこのレポートから伝わる。万引き問題はいまに始まったことではないが、改めて書店の大変さを思い知った。

 RFICタグの将来構想、なんて言ってたらこの店長さんに叱られちゃうなあ。

 

社長 丸島基和

(2009/9/2)

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