出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ 出版業界 専門紙 新文化

「書店」と「新古書店」と「古書店」の違い

 先日、札幌の「デイリーブックス」という新古書店の書棚が倒れて、小学校5年生の女の子が重傷を負った。ニュースでもワイドショーでも取り上げられていたからご存知の方も多いと思う。

 コミックスが散乱するなか現場検証する警察。看板には「買取」の文字が見えている。そんな映像を見る限り、新古書店であることは間違いなさそうだったが、報道キャスターはしきりに「この書店は、この書店は」と繰り返す。ただ、北海道NHKテレビでは「中古書店」と報じ、一部の新聞やネット報道では「古書店」と記載した。

 道内にある取次会社の支店には、「書店」報道をみた出版社から何件か問い合わせがあったという。業界人なら当然、気になるところである。

 しかし、生活者や報道関係者にとっては、新古書店も古書店も、中古本屋も「書店」「本屋」となるらしい。出版業界人にとっては、著者の権利や流通、再販、何をとっても違いは明らかだが、そんなことは普通、知らない。だけど、「普通は知らないことを、業界人は意外と知らない」

 先日、60回目となった京都トーハン会で新潮社の佐藤隆信社長は、この新古書店に関わる最近の動きについて、相容れない反対の意思を伝えた。書籍のデジタル化については、「業界が対応すべき問題」としながら、新古書店には「闘うべき問題」とした。

 佐藤社長はここで、最近の新古書店と昔ながらの古書店について、その違いを「例えば、苦学生が(学問のために)通うのが古書店だった。規模が違うと意味合いも違ってくる」と説明。コミックスや文庫、CDなど、低価格をウリにして、チェーン化、大衆化したものとは違うということを伝えた。

 そして「大規模で組織的になれば、弊害もある」とし、万引き問題も含めて「闘うべき問題」にした。(詳細は「新文化」10月22日号)
 最近はブックオフが新刊書店を複合化させて出店したり、新刊書店がブックオフを店内に誘致したり…。「どっちもあり」の状態。

 先日もある出版社にお邪魔した時、「ブックオフとは、いろいろやってましてー」と突然言われて、「えっ、何それ!?」と聞き返してしまった。

 「出版社」「取次会社」「書店」――取次ルートの流通枠のなかでこの3者を出版界と総称しているが、経済産業省は「コンテンツ産業」の名のもとで新古書店やマンガ喫茶、図書館などの周辺企業(施設)と産業振興を図る。

 同じ本を扱いながら、垣根を守り、闘うことは易しいことじゃない。「本屋さん」の区別がつかない一般生活者を敵に回すことのないようにしたい。読者主義、読者利便の真意を業界内で消化するだけではエゴに映ってしまう。

 

社長 丸島基和

(2009/10/19)

バックナンバーへ

購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社