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専門取次の存在

 書店の人員リストラが進むにつれ、版元の顔を知る仕入のエキスパートがいなくなり、出版社の情報が入手しにくくなっている。そして店舗の売上げが少しずつ落ち、採算が割れて撤退の道を辿る。

 そんな最悪のシナリオが現実となっている時、専門取次は書店の棚のアドバイサーとして期待されていた。いや、それこそが専門取次の生き残る施策でもあった。

 専門取次は専門的な本の知識があり、書店へのこまめな営業と流通が信条である。また、書店が直接買いに行ける拠点として、また、売れ筋本の情報入手の場として機能している。たとえ正味が総合取次より高くても、書店における存在価値は高い。それが書店流通の一端を担ってきたともいえる。

 経費削減はもとより、増収を図る書店では、棚のアドバイサーとして専門取次を迎え入れる提案に前向きではある。が、それが例えばチェーン店である場合、まず1店舗から実験をスタートし、そのノウハウが分かれば全店展開をすることなく、止めてしまうケースが多いという。

 せっかく売上げが伸びたのに・・・。

 現場を軽視する書店の経営者は「なぜ、安いところから仕入れないんだ」と反対してそれっきり、という場合があるようだ。“効率仕入”だけが先行して読者の目線に立った提案を放棄した格好だ。ドンと来る新刊は総合取次で、店舗で手がまわらないこまめな補充は専門取次という、都合のいい使い方しかできないでいる。

 一方、出版社は専門取次について「流通のスピード、まめな営業のほか、書店への情報発信、情報交換の場」としてその存在をもの凄く大切にしている。今年に入って日販の仕入規制が厳しくなったが、そんなハプニングにも出版社は専門取次の協力を得てしたたかだ。

 いまでこそ神田村に駆けつけて売れ筋を探す書店人は減ってしまったが、書店の人材が手薄になっているいまこそ、専門取次の良さを引き出してほしいと思う。

 

社長 丸島基和

(2010/2/4)

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