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OBたちの与太話

 定年退職した業界関係者は現役の方々よりも元気である。いまも様ざまな場面で接点があり、私も近況を聞くことが多くなった。昔話に花が咲くことが多いがそれも面白くためになる。

 なにせ遊びの話しが多い。「ゴルフは週2回、麻雀は昼から」。なんとも羨ましいサンデー毎日≠送っている方もいるようだ。

 今度はパチンコの話し。昔、東京・神保町にあったパチンコ屋さんは学生やビジネスマンを相手に本を景品にしていたという。当時、出版社には太洋社から聞きなれない屋号で常備の申し込みがあり、調査の結果、パチンコ屋さんであることが判明。ある著名な老舗出版社では丁重に断わったという。

 1年間、請求されない出版社の外在庫として仕入れる知恵を誰が授けたかが、いまさら話題になる。結局は現金取引を先延ばしして景品を仕入れるしたたかなパチンコ屋さんは偉いというオチになった。

と思えば、JR東京駅前にあったパチンコ屋さんでも本を景品にしていたようだが、そこからスリップが送られてきて報奨金の請求があった。薬局にも本があり、そこを常備店として営業していた、などなど。

 出版社のOBは特に地方の話しに詳しい。かつてあった町の書店や居酒屋や路地一本まで記憶している。また、書店の社長や奥さんや家族、親戚・・・なんでまたそんなことを知っているのか、それはそれは呆れるほどである。

 要は書店とそこまで徹底して付き合ってきたのである。良いも、悪いもない。ただ一生懸命に働いてきた。社内ではそれを知っていても評価にはならない。でも、出版社は書店と多くの時間をともにしてきた。呆れるほどの与太話しは、書店への愛情の裏返しにも聞こえてくる。

  かつてあった業界の問題も人間関係のなかで緩やかに解決してきた。いま、時代は変わった――なんて野暮なことは書きたくないけど、メールや電話のやり取りだけの日常では、いざという時の判断が鋭利になっていく。不況になるほどにそうなる。だから、かつて現役だったOBたちの話しは面白く聞こえる。

 

社長 丸島基和

(2010/3/30)

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