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「大橋会長、本当にそれでいいんですか」

 日書連が「送返品の同日精算」問題で、大手取次2社を公取委の審査部に「優越的地位の濫用」に触れる不当取引であると申告することを決めた。

 取次会社はこれまで、消費税のシステム開発時の出版社協賛、東日本大震災で出版社の罹災品100%入帳、などで公取委から注意を受けたことがあった。出版社や書店が取引きやポイントサービス、景品などで個別相談していたことは珍しいことではないが、書店団体の日書連が身内を売る≠謔、な対応は前例がないと思われる。

 ここで解説をするのも厭われるが、「同日精算」問題とは、取次会社から書店に送品した月次請求分と、書店の返品入帳期限を同じにして相殺・清算するよう求めていたもの。「書店の在庫金額を一定に保つための返品」を月内で同時に清算してほしいということである。

 この問題は2005年から日書連が実態調査を開始し、06年10月に取次各社に要請文を提出するところから始まった。取次会社の「ゼロ回答」もあったが、交渉を重ね、日販、トーハン、大阪屋、栗田などは入帳期限を1〜5日程度改善してきた。2010年9月には日書連の大橋信夫会長も「山は動いた」と発言していた。

 しかし、「同日」にこだわる日書連は公取委に訴えることに・・・。例え、申告したとしても、公取委がどのような対応をみせるのかも分からない。ただ、書店団体と取次会社に遺恨を残すだけになるかもしれない。

 聞けば、理事会では満場一致で今回の措置を決めたというが、関係者に聞くと、回答の内容だけでなく取次会社の言い方に「切れた」というニュアンスも伝わってくる。トップ同士が調整することがあったか、どうかは分からないが、矛を収める手立てはあっただろう。

 5月、公取委に文書を提出するらしいが、そのウラで胸を痛めている関係者がいる。利害が絡む言い合いがあっても、様ざまな局面で書店を支えてきた取次会社へ恩を感じている人である。

 何十年にもわたり、人間関係を築いてきたからこそ、できる話合いもある。再販問題も正味問題も乗り越えてきた。なのにそれを放棄して官に判断を委ねることに危機感を覚える。

 かつて取次会社だった東京堂の大橋会長に言いたい。「本当にそれでいいんですか」

 

社長 丸島基和

(2012/4/24)

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