出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
小学館、責任・委託販売第2弾/RFTID普及の狙いも
 

小学館は09年度新企画で責任販売制(買切り)と委託販売制の併用商品を、昨年11月に初めて実施した『ホームメディカ 新版・家庭医学大事典』に続く第2弾企画として発売する(3月5日号既報)。今回は実用書以外に一般書や企画商品もラインアップし、書店の商品選択に幅をもたせた。装着されるRFIDは〈本体とじ込み〉も検討され、シリアルナンバーによる出荷管理のヒモづけを取次会社に委託するなど「RFID普及の次の段階」を試行する狙いもある。現状の書籍返品率四割超の克服にコスト削減の手がかりがあることは論を待たない。RFID利用の併用制のみが“正解”ではないが、他社が小学館の取組みから何を読み取るかで、流れはできるだろう。

第2回となる小学館の責任販売・委託販売制併用企画(併用企画)の商品名、発売予定日、初版予定部数などは次の通りだ。
 ▽茂木健一郎『日本のクオリア』(仮題)=7月7日、2万部、本体1500円
 ▽小学館の図鑑NEO+『くらべる図鑑』=7月8日、6万部、同1900円
 ▽星の地図館『太陽系大地図』=7月15日、3万部、同5800円
 ▽『世界大地図』(仮題)=11月、3万部、本体価格未定

取引条件は前回企画と同様。責任販売制は書店仕入正味65%、3カ月延勘、返品時は歩安入帳(書店→取次=3掛入帳、取次→小学館=2掛入帳)、返品期限は来年1月末。注文期限の5月29日以降、同条件による追加出荷はしない。
委託販売制は、仕入・返品ともに通常正味、返品はフリー入帳。追加注文は常時受け付ける。

販売条件の識別方法も前回をほぼ踏襲する。各商品にはRFIDを装着し、条件別に商品と書店をヒモ付けてデータ化した後に配本する。ほとんどの書店ではRFID内の情報を読み取るリーダライタが未設備のため、「目視」で条件を見分けられるように責任販売制は「赤色」、委託販売制は「青色」のスリップを挿入する。

今回は前回商品のようにケースがないため、RFIDを製本段階でとじ込む方式で検討している。アンケートはがきをとじ込むときのように一体化させ、個人情報保護の観点を含め、本体から切り離せるようにミシン目を入れる。RFIDタグを切り離してしまった場合、委託条件であっても歩安入帳となる。

前回の商品は特別本体価格が6000円と高額で、取り組む書店も限られていた状況にあり、同社の物流子会社である昭和図書がデータのヒモ付けや整品作業をほぼ代行した。
しかし、今回は一般書などがあることに加えて低価格であるため、広範囲な書店から一冊単位の注文が入り、結果、取次が整品段階で“混載”せざるを得ない。そうした状況を想定し、今回は昭和図書が代行した作業を取次主導で実行してもらうように交渉中。もちろん、新たな取組みが困難な場合は昭和図書が代行することも視野に入れる。

今回の併用企画では実用書のほかに一般書や児童書などにもジャンルを拡大、高額商品以外でもRFIDを活用した返品減少・正味プラスの施策を試行する。
同社では「責任販売制の返品分を活用し、帳合書店に“再配本”するなど利益確保と返品削減が実現できるかどうかは販売会社の取組みに負うところが大きい」とする一方、「委託なら初版予定数で採算は確保できるが、責任販売制を多くして売り切らなければ企画の意味がない」と強調。
今後も年3〜4点ペースで併用企画を仕掛け、事前情報の提供や責任仕入れ機会の増加によって、書店の意識改革を醸成する考え。

昭和図書の大竹靖夫社長はスリップの色を変えることで条件識別できたようにRFID利用以外にも様ざまな方法で取り組めるとする一方で、「現状の書籍返品率は40〜50%。改装、再出荷には1冊40円程度の経費がかかる。RFIDの価格も前回よりも下がり、今回は装備込みで1個30円程度となる。トータルではコストダウンにつながるはずだ」と語った。

 
(本紙2009/3/19号掲載記事から)
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク
新文化通信社