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日販の総量規制が波紋/1月に5%削減出版社は悲鳴
 

日販が1月から始めた「総量規制」が出版社や書店に波紋を呼んでいる。1月から日販が委託分の仕入数を店頭の売上げ状況に合わせるために、目標値として5%の削減を実施したからだ。そのため、出版社の大半は書籍仕入部の窓口で突然、希望数が半減もしくはそれ以上削減されることが相次いだ。これまでも総量規制はあったが、それとは比べられない削減に出版社からは怒りの声すらあがった。また、大手を中心に一部書店からも「送品数が半減した」などの苦情も。こうした事態に対し、日販は突然と受け止められた点や書店や出版社の個々の事情に配慮が足りない点に非を認めた。ただし市況に合わせた送品体制は続けていく方針。

 

日販が1月から総量規制を行ったのは、昨年7月から12月までに委託品の取扱高が前年に比べ徐々に増加していったためだ。その間、POS調査店の月別売上高は最悪で前年同月比10%減、少なくとも同6%弱減と低迷。それと同様に書店からの注文品の扱い金額も前年同月比7%弱〜15%と減少していた。

そうしたなか、委託品の取扱高は月を追うごとに前年同月比ベースで増加。10月、12月は前年同月比を上回った。その一方、返品率は改善もせず、悪化すらしていたという。日販ではこの委託取扱高と店頭状況とのかい離を問題視した。

そこで、衣料品など他業界でもみられるように、市況が低迷していれば市場への送品量も少なくすべきと判断、1月から前年同期の委託総仕入れ額のうち、5%を削減目標に掲げ、現場もそれに沿って動いた。これが今回波紋を呼んだ日販の総量規制の基本的な考え方である。

この総量規制は「契約販売への布石、もしくは小零細出版社の排除などではない」と説明。あくまで市況にあわせた送品体制であることを強調する。目標値5%削減を達成するためにとった手段も「返品率が2年以上継続的に40%を超える出版社」に対しての措置と、集中する月末搬入の書籍に対する削減であったという。つまり、規模の大小ではなく、返品率の高い出版社と月末搬入の書籍を調整するという考えだった。

そこで具体的に行ったのが、版元の指定配本分以外の見計らいで配本されるフリー分の削減。ただ、仕入窓口が「予算がないので一律削減」などと説明不足だったため、出版社に混乱を招いた。さらに配本されない店舗がでてきたため、書店の苦情にもつながった。日販ではこうした事態に至ったため、出版社や書店に対して説明を行うとともに個々の事情に配慮する姿勢に変えてきている。

出版社から事前説明を求める声続出

今回の総量規制に対し出版社や書店からさまざまな不満の声が噴出した。出版社サイドは異口同音に「少なくとも事前説明会があってしかるべきだ」と訴える。出版社の規模やジャンルによる差異はあるものの、納入部数の制限で財務計画がズレた場合、商品そのものの仕様にも関わってくるからだ。

老舗実用書版元の幹部は「売上げが削られるから、その分50円の定価アップや一折少なくするなどの方策が必要となる。進行上、少なくとも3カ月前に説明がなければ無理」と語り、取次トップとしての説明責任を果たしていないと手厳しく指摘する。

また、仕入窓口の態度に憤る中堅文庫版元は状況をこう説明する。

「提案部数に対して軒並み3〜4割カットの回答。無論、折衝で回答に積み増して2割カット程度まで盛り返した。なかには毎回重版がかかる人気シリーズも含まれ、何を根拠にしているのか、ロジックに一貫性が感じられない。上司にいわれたから減数では……。これでは“版元イジメ”だ」

一方の書店側は反応が分かれた。中四国の書店チェーンは「仕入金額をチェックしたが、1月は前年比較で増加。配本が減ったという報告も受けていない」と冷静に分析。同社はトリプルウィンプロジェクトに参加しており、「参加店には影響がないのでは」と語る。

配本指定されたものは助かったが、パターン配本で「送品がなかったもの、配本が少なかったものは各店が日販NOCSの発売リストで確認、極端に少ないものは追加発注した」と説明してくれたのは首都圏のリージョナル書店。配本が削られたものを調べた結果、通常より3〜6割減となることがわかった。

「これでは困るので改善を要求した。2月5日以降は元の配本に戻すとの回答があった」と担当者。売上げへの影響を質すと「少なくともプラスの影響はない」と断言した。

(本紙2010/2/11号掲載記事から)
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