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第65回
〈やせおか〉でやせない私
 重版も出来した頃なので話題にさせてもらうが、〈やせおか〉〈柳澤英子〉と聞いて、ピンとこない書店員はもぐりである! そういえるほどに大フィーバーなのは、テレビ番組「金スマ」の効果だ。
 
 放送翌日には全国の書店から一斉に在庫が消え、「やせる」「作りおき」「レンチン」と名のつく他社のレシピ本ですら、売上げが劇的に上がった。自炊1年生の私は、放送前から「やせるおかず 作りおき」シリーズ(小学館)を愛読しており、実際いくつかの柳澤レシピがまだ少ないおかずレパートリーに入っている。
 
 ヘビロテなのが「手羽肉のピリ辛」だ。鶏の手羽元に調味料をもみこみ、タッパーに入れて凍らせておけば、食べたいときにチンしてできあがり。これで失敗する人がいたら、レンジが壊れているか、手羽元と間違えて鶏ガラを買ったかだろう。
 
 売場で若い女性が、〈やせおか〉を手に取り、うーんと悩んでいる。「それ、私でも作れますよ!」「へぇ!で、どれくらい痩せました?」…痩せた? 美味しいおかずができただけで満足していた! 全然痩せてない!
 
 しかし〈やせおか〉をディスるつもりは毛頭ない。だって、手羽肉の安売りを見ると30本くらい買っておよそ3日分作るのだが、美味しすぎて必ず全部一気に食べてしまうのだ。それで太っていないのだから、「やせるおかず」と言ってもいいのではないか。
 
 「美味しくて、現状維持です」…何かが伝わったのか、その女性は本を買ってくれた。
 
(三省堂書店池袋本店/新井見枝香)
(2016年12月5日更新/ 本紙「新文化」2016年12月1日号掲載)
               
 
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