出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第5回 SmartNews
「マンガ」の登録100万超/作品の“切り口”で出会い創出
 「SmartNews」はアルゴリズムによって自動的に選ばれたニュースに加え、「自動車」「どうぶつ」といった切り口や各媒体のチャンネルをユーザーが任意で追加できるニュースアプリである。「マンガ」「マンガワン」「コミックウォーカー」「pixiv」などのチャンネルでは、単行本刊行情報や記事だけでなく、マンガそのものも読める。「マンガ」チャンネルの登録者は100万超、作品提供版元は10社以上におよぶ。
 
 「当社のミッションは『世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける』こと。ニュースや天気だけでなく、小説や映画、マンガなどの文化も人間に必要な情報という考えだ」(マーケティング・ディレクター 松岡洋平氏)
 
 ニールセンの調査によれば、マンガアプリとニュースアプリの両方を使っている利用者はほとんどいない。つまりSmartNewsは、普段マンガアプリを使わない層にマンガ作品を届けている。
 
 「閲覧ランキングも、作品提供元のマンガアプリとまったく異なる。当社アプリは、若年層が多いマンガアプリのユーザーより年齢層が高く、やや男性が多い。従来の版元によるプロモーションでは埋もれてしまっていた作品が、うちのユーザーには刺さってコミックスが売れた例も出てきた」
 
 各作品の終わりには書店や版元、映像化作品の場合はアニメや映画の公式サイト、はたまたアプリのダウンロードなど提供元の意図によって異なる導線が引かれている。
 
 「例えばマンガワン本体より少し遅れて連載を配信することで、続きが読みたくてアプリをダウンロードするユーザーが増えるなど、いいかたちで送客できている」
 
 掲載作品を元々知らなかった人も、ニュース記事を見る感覚でクリックしやすいように、毎日更新の「プレミアム作品」や「注目の連載作品」コーナーでは、タイトルや著者名よりもキャッチコピーを前に出すことと、サムネイル画像は極力カラーにすることを版元にお願いしている。
松岡洋平氏
 
 「実際に読まれたものが画面上部に表示されやすいアルゴリズムのため、提供版元が自社作品と他社作品を客観的に比較するきっかけになっている。また、キャッチやサムネイルを変えて反応をテストし、マーケティングしている版元もある」
 
 昨年11月には、登録者の9割以上が女性の「恋愛」チャンネルにおいて白泉社、新潮社、KADOKAWAのマンガと小説の配信も試行した。
 
 「『恋愛チャンネル』に恋愛小説、また『スポーツチャンネル』にスポーツマンガがあるのは自然なこと。今はテスト段階だが、反応がよければ『経済』や『食』などでも順次やっていきたい。その作品が何を扱っているのかという『切り口』で分けていけば、作家や出版社のネームバリューに関係なく、読者が新しい作品と出会う機会はまだまだ作れると思っている」
 

(飯田一史・ライター)

(2017年3月13日更新  / 本紙「新文化」2017年3月9日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
購読のお申込は
↓コチラから↓
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社