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第7回 マンガワン
初出オリジナル作品で勝負/目標はDAU日本一
 「コミックス売上至上主義の時代は終わる」と、小学館「マンガワン」の石橋和章編集長は語る。
 
 ウェブコミック誌「裏サンデー」を母体にしてアプリを立ち上げたのが2014年暮れ。現在では1000万DL、DAU130万、MAU260万。他社作品も積極的に配信するプラットフォーマー路線は取らず、小学館の作品も編集部が厳選したものをいくつかしか配信していない。版元のマンガアプリとしては最多の週次50前後のマンガワン初出のオリジナル連載作品を走らせ、「これで勝負する」という強い意志が見える。
 
 収益源は連載作品の紙や電子コミックスはもちろん(ただしアプリ内に電子コミックスのストア機能はない)、話売り(Android版では時間制)のレンタルチケット、表示広告やリワードのみならず人気作品ごとに付いたスポンサード広告などの広告。さらにライセンスアウトではなく自社でグッズ制作や管理を手がけることで小ロット生産と作家への高いロイヤリティ還元を実現したグッズ事業、やはりライセンスアウトではなく編集者がプロデューサーとして小学館に売上げが立つモデルでのモバイルゲームなど多岐にわたる。
 
 「何によって売上げが立ちやすいかは作品によって違う。単行本の売上げがよくなくても話売りが伸びたり、閲覧数が非常に多くて広告売上げが上がる作品もあるし、濃いファンがグッズを熱心に買ってくれる作品もある。なんらかのかたちでマンガワンに貢献してくれればそれでいい」
 
 マンガワンが目指すのは、かつて週刊マンガ誌が持っていたエコシステムや楽しみを取り戻すことだ。マンガ界は雑誌の赤字を単行本収益でリクープするモデルで90年代以降やってきた。するとギャグマンガなどコミックスが売れにくいジャンルの作品や、そもそも単行本にならない企画ページは減っていってしまった。しかし、マンガワンは収益源を多角化することで再び多様な作品が共存できる状態を実現する。
石橋和章氏
 
 また、読者が「自分と同じ作品を好きな人がいる」と思える場にするため、1話ごとにコメントが付けられる仕様にし、読者投稿コーナーや作家インタビュー、連載をかけた読者参加型のトーナメント企画にも力を入れる。使っているうちに自然と「マンガワン」という媒体のファンになっていく構造は、ほかのマンガアプリにはない特徴である。
 
 「昔は月曜からジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオン、ゴラク……と毎日雑誌が発売されるのが待ち遠しかった。マンガワンも強いタイトルを曜日ごとの看板作品として用意して、毎日来たくなる状態を作っている」。
 
 目標はマンガアプリとしてのDAU日本一。「アプリ立ち上げから2年ほどかけて、仕組みはつくれた。今年はこれまで以上に作品づくりに力を入れることで伸ばしていく」。
 

(飯田一史・ライター)

(2017年4月10日更新  / 本紙「新文化」2017年4月6日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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