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第12回 「アンドロイドに陳列を任せられるか」

 書店ほど商品の陳列の良し悪しがモノをいう小売業はないとおもいます。食品を扱うお店ではその鮮度が問われ、賞味期限の切れた品は撤去され、常に新しい品が店頭に並びます。書籍にも鮮度はあります。新刊であるという事はそれだけでほぼ無条件に価値となります。ですからお客様の目につきやすい一等地には入れ替わり立ち替わりで新刊が配置されます。そのサイクルは極めて早く、めまぐるしいのです。


「グインの新刊入ったよー」
ドーンと2面で陳列。
「あ、今日は西尾維新だ」
グインを1面にしてドーンと陳列。
「春樹訳のグレートギャツビー出たんだ。いい数入ったねえ」
鮮度の落ちてきた新刊を撤去してドーンと陳列。


 そんな感じで一等地の新刊台の陳列はドーンドーンと大雑把になりがちです。新刊を効率良く売る方法としては間違っていないかもしれません。だがしかし! そんな陳列だったらアンドロイドにでも任せてしまえばいいのです! いきなり熱くなりましたが、一等地だからこそ店のカラーを主張していかないと、新刊書店は金太郎飴だ、どの店行っても同じだとそしられてしまうわけです。


 陳列は釣りによく似ています。然るべく準備をしてあとは獲物がかかるのをじっと待つ。(お客様、ごめんなさい)そして新刊は既刊を売るための撒き餌として利用するのがベターであると考えます。

 古川日出男の『サウンドトラック』(集英社文庫)が発売されたタイミングで角川・文春の古川作品を揃えて一等地で陳列しました。『アラビアの夜の種族』は上中下巻それぞれに手書きポップを設えて意識的にくどい陳列にしてみたところ、お客様より「あそこまでするくらいなら相当おもしろいんでしょう?」とのお言葉をいただきました。相当おもしろいんです。
 北方謙三の『水滸伝』(集英社文庫)の隣に洒落で『試みの地平線』(講談社文庫)を積んでみたら洒落にならない動きをみせてくれたので追加注文を出しました。もちろんポップは

「ソープ行け!」

です。

(2006/11/13)

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