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「ネット書店で本の世界はどう広がるか」を取材して
〜出版研究集会分科会

西野伸一郎氏
(アマゾンジャパン・
ブックスジェネラルマネージャー)
土井氏
(アマゾンジャパン・
エディトリアル担当)
安藤哲也氏
(bk1・店長)

50人以上の参加者で満員となった出版研究集会分科会「ネット書店で本の世界はどう広がるか」は、安藤店長、土井氏、西野氏の順で現況や今後の目標を語ったあと、3氏のディスカッション、質疑応答というプログラムで進められた。

報告の中で浮き彫りになったのは、サイト作りにおける両者のポリシーの違いだ。安藤店長がbk1を「極めてメディア的なネット書店」と語ったのに対し、アマゾンの土井氏は「主役はあくまでも本。エディターは黒子です」と説明した。

また安藤店長が「サイト自体のファン(〃bk1フリーク〃)が増えているのは嬉しいけど、コンテンツが多すぎて重いという意見もある」と語れば、アマゾンは「ウチでは1ページで8点以上の本を紹介しません。見にくくなるから」とストイックな姿勢を強調した。

共通していたのは「ユーザーからの最大のクレームは〃頼んだ本が来ない〃」こと。これは「既存の流通を使っているんだから当然の話」(安藤店長)である。アマゾンのジェフ・ベゾス氏は、ジャパンサイトの「お取り寄せ」の3分の1が入荷しないという事実に怒り心頭だったとか。

そして、もう一つの共通項が、現在は両者とも「売上げは伸びているが、赤字である」ということだった。初年度年商も、bk1は、当初の目標を大幅に下回る10億円程度の見込みだという。

分科会での彼らの話は、すでにどこかで読んだり聞いたりしたものが多く、僕としては正直なところ物足りなかった。

ネット書店は、すでに次のテーマを考える段階にある。それは、bk1やアマゾンジャパン、あるいはその他の専業ネット書店が今後、これらの難点を克服して「化ける」ことができるのか、ということだろう。

僕は、それこそ「大化け」するんじゃないかと期待している。

振り返ってみてほしい。

米国でアマゾンが立ち上がる1995年以前、bk1のような大型ネット書店が国内に誕生することを、いったいどれだけの日本人が予測できたのか。当時を基準にして見れば「初年度年商10億円」は爆発的な売上げだ。

現在100億円といわれる国内ネット書店の市場規模が、今後数年のうちに500億、1000億にならないとは、誰にもいえないはずである。

ネット書店がいつか「出版社との本格的な直取引」や「独自の流通経路の構築」、そして「値引き」をやるに違いないと考えている人は多い。

あるいは、ブロードバンド時代が到来したときに大きな変化を迎えるという人もいるだろう。

なかには「ネット書店もいずれ淘汰の時代が来る。マーケットもそれほど大きくはならないだろう」とリスクを指摘する人もいる。

ネット書店を取巻く空気は、すべてが“予感”に満ちている。それは、ネット書店を新天地と決めた彼らについても同じだ。だから取材する側の僕には、とても魅力的に映る。

石橋毅史

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