書店における付録問題の取材で書店をまわっているうち、都内のある小規模書店の店長に、「実際に付録組み作業を体験して書店の大変さを味わえ」ってことで、昨年末の某日、朝早くから店頭で実際に付録組み作業を手伝わさせてもらった。
当日は、店長以下三人のスタッフに加わり、少女コミック誌と、それに付いている小物やレターセットなどの付録を、本誌に輪ゴムで組む作業だった。
記者が作業したのは六〇冊ほどだったが、途中で付録を入れ忘れたり、同じ付録を二つ入れたり、付録と本誌の数が合わなかったり。もう一度数え直したり、組み終わった雑誌を重ねたら崩れたりと、悪戦苦闘して、大変な作業であったことを実感した。
書店の立場になってみると、中腰でやってて腰も痛くなってくるし、やってるうちにだんだん出版社に腹が立ってきたのも事実だ。店長も「店頭で商品を完成させるなんてこの業界だけでしょ」と怒っていた。
それでもこの日の入荷は少ない方で、年末号が集中した土曜日には一四〇誌もあり、付録組み作業のためにアルバイトを余計に一人雇ったという。それでも作業に追われ、開店時間に間に合わなかったそうだ。
気をつけてチェックしていても、まれにだが、お客から、付録がない、別の付録が入っている、などの苦情があるし、また付録だけ盗まれることもあるという。
この書店では輪ゴムやヒモなど、取次会社から配送されてきた雑誌の束を梱包していたものを再利用するなど、うまくやりくりしている。付録を組む輪ゴムやヒモなどは書店の負担であるが、それよりも一番大きいのは人件費だという。
しかし、開店一番乗りで来店した少女の、目当てのコミック誌を片手にして「付録は毎回楽しみ」という笑顔を見ると、苦労も幾分報われるかもしれない。
いずれにしても、現場での書店スタッフの苦労を肌で感じた半日であった。なんとかもう少し作業軽減につながるような仕組みが出来ないものか。出版社にはもっと考えてほしいものである。
白本朋求
(2004/1/20)
|