出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第2回 「すべてを出し切る決意」
 書店道場【店長・リーダー編】は、おかげさまで好評のうちに推移している。第1クールを終え、いま第2クールを実施中、第3クールはほぼ定員となり、現在第4クールの参加メンバーを募集中である。詳細はこちら(PDFファイルをダウンロード。申込み、問合せはメール=shotendojo.7102@gmail.comまで)。
 
 
 早速ですが、この問題、解けますか?
〈問題〉
 ある書店の文庫状況は以下の通り。
 @出版社別の一般文庫棚(10本) 売上前年比110%
 Aライトノベル棚(2本) 同90%
 B時代・海外・雑学などの棚(8本) 同100%
 この時、@ABのうち、どの棚を増やし、どの棚を減らせば売上は上がるか。ただし、什器は棚のみ、担当者は同じ。したがって棚づくりの水準は同等で高いものとする
 
 この問題は書店道場の冒頭で出す第1問である。
 
 
 ひとつの答を考えてみたい。まず、Bの時代・海外・雑学などの棚は前年を維持しているのだから、そっとしておこう。つぎに、出版社別の一般文庫棚@は10本もあるのだから、品揃えを見直し充実させたうえで減らすか変えないようにする。つまり、@の売上が増えているのは固定客が棚に定着しているからで、これ以上の拡大は不要、となる。
 
 最後に、Aのラノベ文庫が2本というのは、成長分野にしては分量が少ないため、ちょっと増やしてはどうだろう。そうすればファンが増えて売上は上がるに違いない。
 
 とはいえ現実に売上が落ちているものを増やして大丈夫だろうか? ボリュームはそれなりにあるにせよ、伸びている棚を増やすことが正しいような気もする。答えは個々の書店で実践して見出すこともできるが、もちろん書店道場の講座でも発表する。
 
 
 この問題が解けないと上がる売上も上がらない。その反面、解ければ上がらないはずの売上も上がっていく。無手勝流の手もあるが、それではジリ貧になるだけ。
 
 いくら考えても、わからないこともある。そういう場合はやってみるしかない。経験からしかつかめないことも少なくない。とりわけ多品種少量の本の世界では、そうしたことが多いのではないか。膨大な本を取り扱う書店の店長やリーダーには、そうした決断が日々刻々、迫られる。
 
 「売場の科学」はデータだけで成り立つのではない。書店で働く人の経験則から普遍性を導き出せれば、それも立派な科学といえよう。すなわち書店の科学とは、データ+経験則、あるいは経験則+データによって醸成される。
 
 私はこれまで多種多彩なジャンルの担当や店舗の店長、コンサルティングを経験してきた。店には人と同じように、共通する面と異なる面がある。この両面を押さえ対応してこそ売上は上がっていく。その経験則を活かしつつ、多くの方々の応援をいただいて書店道場がはじまった。感謝の気持ちを忘れないためにも、私は経験で得たすべてを出し切っていきたいと決意している。

(書店・出版コンサルタント 青田恵一)

(2017年6月19日更新)
青田恵一プロフィール
福島県出身。書店勤務などを経て、現在、株式会社青田コーポレーション代表取締役。書店 ・出版コンサルタント。中小企業診断士。
主著『よみがえれ書店』 『書店ルネッサンス』『たたかう書店』 『棚は生きている』『たたかうお店のバイブル13冊』『理想の書店』(すべて青田コーポレーション出版部発行:八潮 出版社発売)
               
購読のお申込は
↓コチラから↓
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社