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第10回 12時間では伝えきれなかったこと(1)
 書店道場の第6クールが4月から始まる。現在申し込み受付中である(詳しくはこちらのチラシをご参照ください)。
 初日と2日目の会場はいつも竹橋駅近くの千代田プラットフォームであるが、3日目はご協力いただける出版社様からお借りしている。今回は書協(一般社団法人日本書籍出版協会)様である。そのこともあり第6クールでは、はじめて出版社様の受講枠を設けさせていただいた(受講料は書店様と同じお1人税込5万円。拙著プレゼントや個別相談の特典は書店様に準じます)。ご希望の方は社名、部署、氏名などを記し、以下のアドレスまでお申し込みください。
  メール=k.aota●nifty.com(●=@)
 書店がどのように売上アップの施策に取り組んでいるかを知ることは、出版営業にとり無意味ではないと思われる。是非、ご受講いただきたい。
 
 
 さて、私は書店道場でいま持っているすべてのことを伝えたいと決意している。これまで話せなかったこと、書けなかったことを思い切って語っている。受講時間は1日4時間、3日間で計12時間。本音をいえばその2倍、24時間は欲しい。その思いが高まるにつれ、伝えたい事柄は増える一方だが、時間に限りがある以上、なにかをカットせざるを得ない。
 今回と次回は、そうしてあふれ出てしまった講座内容をテーマ別に拾っていきたいと思う。
 
1. 接客
 
〈お問い合わせの背後には〉
 あるお客様に大好きな書店があったとする。その店は品揃えや提案はいいのだが、分類と陳列が上手でなかった。お客様は、なんとか良くなってほしい。そのためには自分がこの店を育てないといけない、と考える。どうすればいいのだろう、と。
 たとえば「いまこの本が欲しいのですが、たくさんあって探すのが難しい」と店の人に聞いてみる。ほかにアンケートに答える、お得意さんになってから意見を言う、手紙を書く、メールを打つ、自分からモニターを志願するなどの選択肢もあるだろう。
 しかし、こうして問い合わせてくるお客様はほんの一部で、実際は100人、いや1000人中ひとりかもしれない。一度離れたお客様はなかなか戻ってこない。普段から事務的な応対をしてはならない。
 
〈接客のポイント〉
 本を探す問い合わせには、可能な限りお客様を売場まで案内し、棚を一緒に探し、見つけた本を両手でお渡しするようにしたい。それまでの余裕はないとしても、こうした積み重ねが、店のファンを増やし信用基盤を固めていくことになる。
 
2. 販促
 
〈販促の本質〉
 私が書店業界に入るまで――ひとりの読者だったときは、人生の答は書店にあると思っていた。だが書店に入ると自分が欲する何かは、自ら見つけ、つくるものだとわかってきた。そんな思いが伝わるように展開するのが販促の本質ではないかと思う。
 したがって販促の方向は、店長や担当スタッフのパッション(やりたいこと)とミッション(やるべきこと)、あるいは2つの組み合わせから見出すべきである。それがお客様に共感を呼び、本を手にするきっかけになる。
 
〈読書の「機」〉
 読書には「機」がある。この本をいま読みたいと思う時間がそれに当たる。パブリシティや宣伝、書評がこれを後押しすることもあり、書店員はこの機を逃してはならない。一度冷めてしまうと、その本に対する関心は薄らぐ一方になりやすい。販促とは、店および売場でこの「機」を作り出すことにほかならない。
 
〈お客様への提案活動〉
 お客様に提案する目的は、お客様自身の潜在ニーズを自覚してもらうためである。お客様は売場提案があってはじめて、「これを読みたかったんだ」という自分の気持ちを知ることになる。
 たとえば「自分で料理をつくろう」と漠然と思う独身男性が、ある書店で料理本フェアに出会う機会があれば、潜んでいた料理心をより刺激され、購入にいたるだろう。
 みずからの欲求を知ることができた店で、本を買い揃えるのは自然な流れ。そうしたお客様は固定客になりやすい。
 
〈実験スペース〉
 店内、売場内の一定範囲に実験スペースを確保し、できるだけ広げたい。テストマーケティングコーナーとも呼べるこのスペースには、「売行良好書」だけを置くのではなく、たとえば「出会いを演出できる本」も展開しよう。
 
〈「おすすめ」展開〉
 「おすすめ」展開は、棚や平台に「おすすめ」コーナーがあれば充分なのか? 多くの書店員はおよそそうではないと思うだろう。なぜなら、その一角だけでは置ききれないし、それ以外の棚にも「おすすめ」本は並んでいるからである。
 「おすすめ」は店全体で展開するものだと思う。読んでほしいという思いを伝えるためには、その場所だけで済むはずもない。提案の全体像を知ったうえで「おすすめ」を繰り広げたい。
 
〈オリジナルベストセラーの使い方〉
 オリジナルベストセラー1点では、店全体の売上アップにはさほど結びつかない。新刊棚にオリジナルベストセラーの特設棚をつくり、POPや表示でアピールすることで差別化できる。ここにおいても出会いと「機」を創出したい。それはお客様に感じとってもらえる。その点数を増やすことで、アピール領域を点から線に、線から面へ、面から空間へと広げたい。
(次号へつづく)
 

(書店・出版コンサルタント 青田恵一)

(2018年2月19日更新)
青田恵一プロフィール
福島県出身。書店勤務などを経て、現在、株式会社青田コーポレーション代表取締役。書店 ・出版コンサルタント。中小企業診断士。
主著『よみがえれ書店』 『書店ルネッサンス』『たたかう書店』 『棚は生きている』『たたかうお店のバイブル13冊』『理想の書店』(すべて青田コーポレーション出版部発行:八潮 出版社発売)
               
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