出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第101回
新井先生
 大学生を対象に、POP講座の講師を務めた。図画工作は大嫌いだし、本の本質をPOPで伝えたいとも思っていない人間が、一体何を教えるというのか。
 
 私にとってPOPの上手い下手は、数字で決まる。立派な芸術作品でも、利益を生まなきゃただのゴミ。だから、講座用に過去のPOPを持って来いと言われても、一旦外したものは鼻をかんで捨てるため残っていない。
 
 私が知っているのは、素敵なPOPの書き方などではなく、モノをガツガツ売る商いの楽しさだけなのだ。料理を習いに行ったら、なぜか先生が腕をふるって、ひたすら脈略のない料理を食べさせられて終わるようなものである。生徒にとっては、期待外れの内容だろう。
 
 しかしその予想は外れ、びっしりとメモを取った受講者からは、質問まで飛び出した。
 
 「インスタにあがりやすい本とそうではない本の違いは?」
 
 これのどこがPOP講座だ。一体私は何を提供したのか。君らもまだ食べる気か。喋り倒して出涸らしになった先生は思う。
 
 物を売る話は買う側にとっても興味深いものであり、販促の戦略を知ることは、幻滅させるどころか、商品と売場への興味をかき立てる。今にも本屋へ駆け込み、買い物をしたそうな彼らの反応に、それを実感した。楽しかったのでまた呼んでほしい。
 
 ただ、訴えられる前に、講座名は変えよう。
 
(三省堂書店神保町本店/新井見枝香)
 
(2018年6月18日更新/ 本紙「新文化」2018年6月14日号掲載)
               
 
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社