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第112回
ちょっとさみしいな?
 先日レジで、AIに関する入門書をまとめ買いした年配のお客様が「そのうちあんたの仕事もなくなるかもしれないよ」とからかうように言うので、「そうですね」と相槌を打った。私が話に乗ってこないものだから、気まずくなったのかもしれない。
 
 「でも、そうなったらちょっとさみしいな」
 
 今度は気遣うように言い置いて、帰って行った。
 
 ほんの一部の人間が「ちょっとさみしい」と感じるくらいのことで、世の中の変化が止まることはないだろう。
 
 駅員さんが切符にハサミを入れてくれなくなってちょっとさみしいとか、回転寿司で食べたいネタを伝える相手がタッチパネルになっちゃってちょっとさみしいとか言ったところで、すぐに慣れるし、そうじゃなかった昔には、まず戻らない。
 
 AIが売場を管理するようになれば、人的ミスによる売り逃がしは激減するだろう。朝から鳴り止まない電話も、全てAIによる自動音声受付にすれば、「パンツの色教えて」といったいたずら電話にも、「かしこまりました。パンツの色教えて、ですね」とか答えて、検索システムを起動させたりするのだろう。最強じゃないか。
 
 私は、そうやって自分の仕事がなくなっていくことよりも、AIに仕事を奪われていくかわいそうな店員、と勝手に決めつけられるのが何より嫌なのだ。自分が心優しい人間だと思い込むための材料にされるのって、ホント迷惑だな。
 
(三省堂書店神保町本店/新井見枝香)
 
(2018年11月26日更新/ 本紙「新文化」2018年11月22日号掲載)
               
 
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