出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第76回
火星1号店からアライです。
 新入社員のみなさん、私は三省堂書店火星一号店の新井です。ホログラムで失礼します。今日は、このお店のことを紹介するため、火星から電話を繋いでいます。
 
 現在、火星は巨大なドームに覆われ、その中では地球と同じように過ごすことができます。ドームの外は真っ赤な砂漠ですが、外に出ない限り、危険はありません。
 
 地球政府が、人口増加防止対策として火星移住者を募った結果、希望者にはある共通点がありました。ほぼ全員が、新井素子さんの「星へ行く船」愛読者だったのです。
 
 1980年代に集英社のコバルト文庫で発刊され、2016年から出版芸術社より完全版として単行本化されたシリーズ全5巻は、親から子へと代々読み継がれ、火星への強い憧れが、彼らのDNAに刻み込まれていったのです。
 
 そのため火星には読書家が多く、「国内文学(SF)」のラインアップは宇宙一です。火星は「星へ行く船」そのままに開拓され、SF好きにはたまらない環境です。ただ、出国には政府の支援がありますが、帰国には莫大な費用がかかるため、まず地球には戻れません。
 
 競合店がひしめく地球のターミナル駅書店で働くやりがいもありますが、その星唯一の書店として、星のみなさまに「三省堂書店があってよかった」と心から言ってもらえることは、書店員として最高の喜びです。
 
 さぁみなさん、星へ行く船に乗りましょう。以上、人手不足の火星からでした。
 
(三省堂書店/新井見枝香)
(2017年5月30日更新/ 本紙「新文化」2017年5月25日号掲載)
               
 
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社