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第79回
ぐるぐるでぐるぐる
 小説家・三浦しをんさんが全国の博物館を巡るルポエッセイ「ぐるぐる・博物館」(実業之日本社)。誰でも読めば今すぐ行ってみたくなるだろう。しかし私は、行って展示物を見るというより、会ってみたい。三浦さんが出会った、博物館で働く人たちに。
 
 最も印象的だったのが、東京・新宿区にある「風俗資料館」。国内唯一のSM・フェティシズム専門図書館ということで、まぁどエロい資料がどっさりある。
 
 その中には、一般の人のスクラップブックも所蔵されていると知って驚いた。会員制とはいえ、不特定多数の目に晒される場所になぜ? 盗品? まさか借金の肩に?
 
 しかし真相は違った。墓場まで持って行きたい大切なお宝を、会員自らの希望で預けたのである。
 
 人はいつ死ぬかわからない。信頼できる資料館に託してしまえば、安心だ。同好の士にも喜んでもらえる。なるほどなぁ、なんて存在意義のある博物館なのだ。
 
 そして何よりすごいのが、そこの女性館長さんだ。古本や昔の雑誌が好きで「普通に就職した」というから驚きだ!
 
 本に関わる仕事は、新刊書店だけではない。怒涛のように新刊が入っては売って売って売りまくって、時には返品して、その摩擦でたまに擦り切れそうになる。
 
 古い書物を、大事に保管された貴重な雑誌を、一点しかないスクラップブックを、そっと手に取る人を静かに見守る仕事が、少しうらやましく思えた。
 
(三省堂書店/新井見枝香)
※タイトルは、本紙掲載時のものから変更しています(7/13)
 
(2017年7月10日更新/ 本紙「新文化」2017年7月6日号掲載)
               
 
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