出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第80回
文庫の棚でど忘れ
 作家・千早茜さんに勧められた本を買って帰ろうと、三省堂書店神保町本店の文庫売場に立ち寄った。タイトルは『ボラード病』。著者は吉村萬壱。一度聞いたら忘れられない言葉である。しかし、アレをど忘れした。アレだアレ、出版社。
 
 書店員だって人間だもの、年とりゃボケる。神保町本店の文庫売場は広大で、端から端まで見ていくのは骨だ。
 
 検索機を使えばいいって? 俺にもプライドってもんがある。お客様用の機械なんざ使わねぇっ。売場でスタッフが棚整理をしている。
 
 「あのう、ボラード病なんだけど…」 だめだ、不審だ。
 「ちょっとボラード病持ってきて」だめだ、えらそう。
 「さて問題です。ボラード病の出版社はどこでしょう?」 遊んでいる場合ではない。
 
 焦れば焦るほど思い出せない。くそう、なんで文庫本は出版社ごとに並んでんだ!「よ」の本よ、一カ所に集まれー!
 
 …とその時は思ったものの、これだけ大きな売場でひたすら五十音順に並べたら、ある意味カオスだ。
 
 著者名で本を探している人ばかりではない。同じ出版社の中でもレーベルで分かれているが、それを分解してしまうことによって埋もれる本も必ず出てくる。正解はお店によるし、お客様にもよるし、時と場合によっても変わるのだ。
 
 ちなみに『ボラード病』は文春文庫です。(スマホで調べた)どメジャーじゃねぇか! 文春文庫の棚の「よ」のところを探して買ってください。超面白い。 
 
(三省堂書店/新井見枝香)
 
(2017年7月24日更新/ 本紙「新文化」2017年7月20日号掲載)
               
 
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社