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第82回
浪費書店
 劇団雌猫というサークルが発行して、コミケなどで販売していた文芸同人誌「悪友」が、この度『浪費図鑑』というタイトルで書籍化し、我々新刊書店に配本される運びとなった。小学館様万歳。
 
 アイドル、声優、宝塚、バンド、コスメ…何かにどハマりした女性たちのお財布は、チケット代、CD・DVD代、贈り物代に地方遠征の交通・宿泊費もろもろと、擦り切れるほど忙しい。
 
 どうやって普通の会社員が、安くないグッズを狂ったように買い集めたり、海外公演にまで駆けつけたりできるのか。この本には、彼女たちのリアルなお財布事情と、揺るぎない浪費哲学が詰まっている。
 
 かくいう私も、現在浪費生活真っ只中。次から次へと欲しいもの、参加したいイベントが提供されるため、貯金は激減した。それでも私は「お金を使わせていただきありがとうございます!」と手を合わせる。これほど幸せなおカネの使い方が、他にあるだろうか。
 
 一部の専門書店を除く一般の書店は、浪費のツボを押すことがどうもうまくない。例えばタレントの写真集に付く購入冊数に応じた特典も、私の感覚で言えばごく控えめだ。もっと思い切って、グイッといかんかい。
 
 浪費者代表として言わせてもらうと、幸せはおカネで買えるが、売ってくれないと買えないのである。私のような浪費者目線の書店員は、自らの体験を基に、書店を最強の浪費スポットに変えていくことが、使命なのかもしれない。
 
(三省堂書店/新井見枝香)
 
(2017年8月28日更新/ 本紙「新文化」2017年8月24日号掲載)
               
 
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