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第83回
昭和の神保町
 ツイッターで、「昭和スポット巡り」(@showaspotmegri)というアカウントをフォローしている。昭和31(1956)年の森永フレンチキャラメルや、昭和42(67)年のデパートのおもちゃ売場など、ひたすら昭和の素敵な画像を投稿してくれるのだ。
 
 その中で、神保町のカラー写真を見つけた。昭和51(76)年のものだ。拡大してみると、波多野書店、山陽堂書店、南海堂書店、北沢書店などの看板が見える。通りに古書店がひしめき合い、お祭りのような 賑わいだ。
 
 私が生まれる前の風景だが、未だに健在の店がたくさんあって、ワクワクした。これが渋谷や池袋なら、もはや面影も残っていないだろう。
 
 有楽町店にアルバイトで採用された後、神保町の本社で研修を受けたことを思い出す。「いらっしゃいませ」から袋の渡し方まで、丸一日かけてみっちり指導を受けた。
 
 私にとっての神保町はあの日からだが、思えばたくさんのものがこの街からなくなった。プードルケーキの柏水堂も、ウーシャンロー定食の徳萬殿も、今はない。
 
 もともと私は古い飲食店が大好きで、今にも崩れ落ちそうな喫茶店などは、絶対に素通りできない。店も人も老朽化していて、次に行こうと思っても、店を畳んでいる可能性が高いからだ。
 
 最近、なくなっていくものばかりが気になって、新しくできた商業施設やチェーン店の新メニューに、前ほど興味が持てなくなってしまった。年だろうか(しんみり)。
 
(三省堂書店/新井見枝香)
 
(2017年9月11日更新/ 本紙「新文化」2017年9月7日号掲載)
               
 
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