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第86回
空っぽの棚
 スーパーもドラッグストアもコンビニも全滅だ。品切れの表示も、次回入荷のお知らせも間に合っていない。
 
 空っぽの棚はそのままで、何か別のものを置く余裕もないらしい。まるでノーベル文学賞発表後のカズオ・イシグロ棚のようだが、私が血眼で探しているのは、行政指定の家庭用可燃ゴミ袋(10リットル)だ。20リットルの可燃ゴミ袋や不燃ゴミ用各種は、駅から遠いドラッグストアにかろうじて残っていた。
 
 しかし一人暮らしで、可燃ゴミを20リットル溜めると、バナナの皮やキャベツの芯が腐る。ワンルームだから、生ゴミ臭が部屋に充満してしまう。だから私は10リットルの袋が欲しいのだ。
 
 ノーベル文学賞と違い、この日から指定のゴミ袋でなければ回収しないからね、と数カ月も前から役所が通知していた。しかも、一人暮らしが多い地域だから、小さいゴミ袋が売れることは予想できたはずだ。
 
 それなのに、なぜ売り切らすのか。追加がすぐに入らないのか。ノーベル文学賞に乗っかって、愚痴をこぼしてしまったが、ゴミが捨てられなくて本当に困っている。
 
 受賞を予想して、あらかじめ本を発注していたデキる書店員のように、私もこの事態を予測して、ゴミ袋を買っておくべきだったのかもしれない。
 
(三省堂書店/新井見枝香)
 
(2017年10月23日更新/ 本紙「新文化」2017年10月19日号掲載)
               
 
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