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第91回
文庫の新井です!
 昨年12月の半ばに辞令を受け、神保町本店の文庫担当に着任した。たった1年売場を離れただけで、制服はキツキツである。あの頃は、食べても食べても太らなかったのに…。まぁ、体型はそのうち戻るだろう。戻ると思いたい。だが、もう何も知らなかった俺には絶対に戻れない。
 
 知れば迷いも弱点も増える。人はそれを成長と呼ぶのだろうし、本部での経験で変われなければ、あの1年は全くの無駄になる。しかし今は、とにかく仕事が楽しい。もう頭がどうにかなりそうだ。よだれをジャージャー垂らしながら尻尾を激しく旋回させる犬ころのように走り回っている。
 
 最も楽しいのが、レジで本を売る時間だ。いくらデータを睨んでもわからなかったことが、面白いように見えてくる。
 
 これはあくまでも私の場合だが、頭だけで考えると、人が紙の本を書店で買う意味がどんどんわからなくなった。もう、自分なんていなくてもいいような気がしていた。
 
 でも、直接見て触ってコミュニケーションを取ったら、本もお客様も、まだ書店員を必要としていると実感できた。それなくして考えることが、どうやら私には難しいようだ。
 
 お客様が100人いれば100通りの買う理由があり、私はそのすべてを見たい。だってそこにはもう、可能性しかない。
(三省堂書店神保町本店/新井見枝香)
 
(2018年1月17日更新/ 本紙「新文化」2018年1月11日号掲載)
               
 
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