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第5回 「著作物再販制度当面存置と是正6項目
              ──────2つの文書」

 平成13年3月23日、公正取引委員会は、著作物再販制度を当面存置するのが相当とする結論を出し「著作物再販制度の取扱いについて」と題する文書を公表している。そうした文書が公表される3年前の平成10年3月に、公正取引委員会は、鶴田研究会(正式には「再販問題検討のための政府規制等と競争政策に関する研究会」(座長 鶴田俊正専修大学教授)からの提言を受け、1.競争政策の観点からは同制度は廃止の方向で検討されるべきものであるが、2.本来的な対応といえないものの文化の振興・普及と関係する面もあるとの指摘があり、3.この際、それぞれの業界において各種弊害の是正に真剣に取り組むべきものであり、同制度を廃止した場合の影響を含め引き続き検討し、一定期間経過後に制度自体の存廃について結論を得る旨の見解を公表している。(平成10年3月31日付け公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」と題する公表文参照)

 公取委が平成13年3月に発表した文書において、それぞれの関係業界に各種の弊害の是正に真剣な取組みを行っていくべき6項目を掲げ、着実な実現を図っていくことを求めている。

  ○時限再販・部分再販等再販制度の運用の弾力化
  ○各種の割引制度の導入等価格設定の多様化
  ○再販制度の利用・態様についての発行者の自主性の確保
  ○サービス券の提供等小売業者の消費者に対する販売促進手段の確保
  ○通信販売、直販等流通ルートの多様化及びこれに対応した価格設定の多様化
  ○円滑合理的な流通を図るための取引関係の多様化及びこれに対応した価格設定の多様化

 この文書において、競争政策の観点からは著作物再販制度を廃止し、著作物の流通において競争が促進されるべきものと考えるが、文化の振興・公共面での影響が生じるおそれがあるとし、同制度の廃止については当時の時点では国民的合意が形成されるに至っていない状況にあり、現当時の時点において独占禁止法の改正に向けた措置を講じて同制度を廃止することは行わず、当面存置することが相当であるとした。

 この平成13年3月23日文書内容の要約は次のとおりである。

 (1) 当面同制度を存置することが相当。
 (2) 現行制度の下でも消費者利益の向上につながるような運用も可能であり、これに向け
   た取組みも見られるが、硬直的な運用もみられるとの指摘もある。
 (3) 運用の弾力化の取組みが進められることによって価格設定の多様化の方策を一層推進
   することを提案し要請。
 (4) 著作物の流通についての意見交換をする場として協議会を設ける。
 (5) 著作物再販制度の対象となる著作物の範囲は従来からの6品目に限る。

 平成10年3月31日、公取委は「著作物再販制度の取扱いについて」と題する文書を公表し、「再販問題検討のための政府規制等と競争政策に関する研究会(座長 鶴田俊正専修大学教授)」に多様な観点から検討を依頼したところ、基本的には廃止の方向で検討されるべきものと考えられるが、文化・公共的観点から配慮する必要があり、この際、各種弊害の是正に真剣な取組みを開始すべきとの提言を受けたと述べ、この提言等を踏まえ、以下のように取り扱うこととする結論を得たとしている。

 著作物については従来取り扱っている対象品目の6品目とする。

 著作物再販制度の対象となる著作物の範囲についてはこれを廃止した場合の影響等も含め引き続き検討を行うこととする。現行再販制度を当面、継続運用していく方針を明らかにした。

 同時に、早急に措置を講ずべき事項としての業界への是正6項目を示し、消費者利益の確保の観点から、その達成度を検証する組織として、著作物再販協議会を設置し、第1回・6月に出版、新聞、レコード、CD等業界関係者と有識者を集めて協議されている。さきの6項目は出版業界にとっても、再販存置に関して重要な指導項目であり、再販制度の運用上も心すべき極めて重要な指針である。

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