出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ 出版業界 専門紙 新文化
第8回 「取引条件としての契約条件」

 わが国の出版業界の取引形態は「委託」制度を中心として発達し、活発に活動してきたといっても過言ではない。出版業界で通常用いられている取引条件には、一般的にいって次のようなものがある。それらが、長年の取引の繰り返しと積み重ねによって、商慣習として熟成され、一般化して理解されているのが現実である。以下のような理解は出版業界としては広く認められている。


(1) 「委託」と「注文」
 「委託」は、納品後6カ月間返品自由、6カ月後返品期限切れとなる。精算は原則納品6カ月後納品部数から返品部数を引いた分につき行われる。

 まず、一般には納品の際に「委託」と「注文」とに大別される。

 この「注文」を「買切」と呼ぶ場合もある。

 「注文」も「買切」も、実際は「返品条件付き買切」であり、これを出版業界では「買切」と呼んでいる。実際は最終的には返品を受け入れるという点(むしろ受け入れざるをえないという点)で、広い意味での「委託」である。これは、「注文」で納品したが、やむをえない事情で返品を許容しなければならない場合が含まれている。典型的な例が受講者の数が決まらない教科書・テキスト類の学校の採用品である。

 民法の契約の考え方からすると、注文は契約の申し込みであり、それに対する承諾があって契約が成立する。承諾は当該注文品の出荷という事実行為で示され、契約が成立する。注文短冊を当該注文品にはさんで出荷するときに、個々の契約が成立する。

(2) 「委託」と「注文」の違い

 実務的に見た場合、「委託」か「注文」かの違いの大きな点の一つは、納品の精算に関してである。一般の取引の世界では、取引条件として精算がいつなされるかは、契約の大きな要素であるから、精算を明確にするために精算条件を明確にすることが当事者間にとってはまず必要である。

 そこで、大きく分けて「委託」と「注文」に分類し、「委託」の場合の精算は、納品6カ月後、「注文」の場合は納品後1カ月後というように大枠での標準を決め、それが出版業界の商慣習として定着している。取引条件は、個々の当事者間で決められるから一概には言えないが、この標準を取引基本約定書に規定する取引として、通常行われているのである。


 出版業界の取引慣行には、他の業界とは異なった独特のものがあるようだ。これも、長年にわたる先人の知恵の産物である。絶妙の仕掛けといってもよいかもしれない。

 取引条件として一般に使われているものには「委託」「注文」「買切」がある。「買切」は原則返品はできないが、今後の取引のことを考えると、杓子定規にいかないのが現実である。

 現在、実際に出版業界で使われている取引条件を列挙してみると以下のごとくである。
  1委託、2注文、3常備、4延勘

もくじへ

購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社