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第4回 書店で先行販売
(本紙「新文化」2010年9月23日号4面掲載)

拙著『イメージ通りに仕事が運ぶ ビジネスマンのシナリオノート』(以下『シナリオノート』)が流通する川上から川下までを体験する旅。いよいよ書店までやってきました。

版元のクロスメディア・パブリッシングでは、見本だしの日の午後に、都内の数店舗の書店に直接納品し、先行テスト販売を行っています。そこで、今回は有隣堂ヨドバシAKIBA店(東京・秋葉原)で、その搬入から店頭での展示までを体験させていただくことになりました。連載第1回でもお世話になった門脇順子さんには、9月から他店の店長へと転勤になったにもかかわらず、この日のためにまた来ていただきました。

駐車場に置かれた車から本とパネルを、版元の小早川さんと一緒に運びます。今回、納品するのは70冊。初版6000部の普通のビジネス書が1店舗に納入する冊数としては多い方です。

店に着くと、バックヤードで、『シナリオノート』の登録をします。それから、門脇さんとともに、本を台車に乗せて売場へ運んでいきます。まずやってきたのはビジネス書売場。一番目立つエンド台の前。「どこに置きたいですか?」と門脇さんから質問されます。自分の本をどこでも自由に置けるって、なんだか夢のよう。でも実際、そうしていいと言われると悩んでしまいます。「どこがいいんですかね?」と思わず逆質問。

「じゃあまずは、この端に置いていきましょう」。そう言うと、門脇さんは、一番目立つ面陳スペースにあった本をどけてくれ、上下4面のスペースを開けてくれました。慌てて、僕と小早川さんはそのスペースに『シナリオノート』を並べていきます。

「どうですか? まわりと見比べて」。隣には、真っ赤のカバーでとてもインパクトのあるタイトルの本が並んでいます。『シナリオノート』がとても沈んだ感じに見え、テーマ的な並びを考えてもどうもしっくりきません。「何となく違和感があるような気がします」と僕は正直な感想を述べました。

「そうですよね。じゃあ、あっちの本をこっちに持って来ましょうか?」

門脇さんは、比較的落ち着いた装丁の本を『シナリオノート』の隣に持ってきました。するとどうでしょう。とても、しっくりくるではないですか!

「隣にある本によって見え方がまったく変わってくるんですよ」

同じ色の本を置くのもよくないし、かといってコントラストが強すぎるのもよくない。要はバランスだということです。なるほど。

一番目立つ場所に置いていただいた『シナリオノート』の上に、版元が作ってくれた宣伝用の大きなパネルを設置して終了。とてもいい感じです。

続いて、入口のレジ横近くにあるビジネス新刊話題書コーナーへ移動。このコーナーは、ランキング棚の近くにあり、まさに売れ筋のビジネス書が並んでいます。

「平積みと面陳どっちがいいですか?」と、また悩ましい質問。

このコーナーには3段階の置き場所があります。まずは手前の平台への大量平積み。続いて正面の棚への面陳。その下の平台への平積み。門脇さんによると、大量の平積みコーナーに置かれた本は、週に30冊は売れてほしい本。同様に正面の面陳コーナーに置かれた本は週20冊。その下のコーナーの平積みは週10冊という風に、目標とする冊数があると言います。それを達成できない本は、徐々に場所が移動していくのです。書店の本棚には、このように書店員のいろいろな思惑≠ェ潜んでいるんですね。

『シナリオノート』は、一番目立つ、大量の平積みをお願いすることにしました。スティーブ・ジョブズの『驚異のプレゼン』が置かれている横のスペースを空けてもらい、『シナリオノート』を置いていきます。元々、置かれていた本は、ちょっと申し訳ない気分です。実際に並べてみると「こんなに売れるだろうか?」「果たして週30冊というノルマをクリアできるのだろうか?」「他の本を置いていたらもっと売れたのに、とお店に迷惑をかけるだけにならないか?」と逆に不安な気持ちの方が大きくなっていきました。

さて、本の流通の川上から川下を体験する旅はこれでひとまず終了。次回は、これまで4回の体験を通して感じたことなども踏まえ、書店がよりストーリーのあるワクワクした場所に生まれ変わるヒントを提言させていただこうと思います。

(川上徹也)

(2010/9/28更新)
 
 川上徹也氏のプロフィール
 
ストーリーの力で、会社・商品・個人を“売れ続けるブランド”にするクリエイティブディレクター。湘南ストーリーブランディング研究所代表。2008年よりビジネス書作家としても活躍。著書『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』(クロスメディア・パブリッシング)『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)など多数。

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