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第19回
子育て誌と連動、グッズ展開も 「ノラネコぐんだん」シリーズ
 白泉社が刊行する工藤ノリコ作「ノラネコぐんだん」シリーズは、2012年のスタート以来、主に未就学児と30〜40代の大人に支持され、関連書籍も合わせると、累計200万部に達する。
 
 パン屋や寿司屋などを営むワンワンちゃんの店を覗き込んだノラネコぐんだんが、自分たちもやってみようと夜な夜な忍び込み、好き放題の挙句にドッカーン!と大爆発。ワンワンちゃんにお説教され、反省して店の再建を手伝って終わる−−というのが、毎巻の物語の流れの 「お約束」だ。
 
 「工藤さんは映画の3幕構成などを研究し、起伏のはっきりしたストーリーづくりに時間をかけて取り組まれています」と話すのは、白泉社の担当編集者、森綾子氏。
 
 題材は巻ごとにアイス、カレー、汽車、おばけといった子どもが好きなものが選ばれ、ノラネコぐんだんは欲望の赴くままに振る舞う。「『子どもの社会性が発現する以前の、原初的な欲求を叶えるものにしたい』という工藤さんの考えからです」(森氏)。
 
 もともと著者が影響を受けたのは、絵本よりアニメやマンガの方が大きいというが、ふてぶてしいノラネコぐんだんのキャラクターデザインや、デフォルメされた動きなどには、たしかにマンガ的なわかりやすさがある。マンガ版元でもある白泉社との相性、同社が得意とする宣伝手法やIP展開との相性も抜群だ。
 
 著者のパートナー、工藤利幸氏が映像作家であることから、新刊が出るたび、制作したPVを書店店頭やYouTubeなどで流している。森氏は「弊社では、それまでもマンガでそういったプロモーションを行っていましたが、2012年当時、児童書業界では珍しかったと思います」ともいう。
 
 絵本・育児情報の雑誌を持つ版元としての強みを活かし、子育て情報誌「kodomoe」には「ノラネコぐんだん」の絵本やグッズを付録にするなど、毎号登場させる。11月6日発売の『ノラネコぐんだん ケーキをたべる』では、対象の書店で同書を買うとポーチがもらえるほか、同日発売の「kodomoe」は、付録としてトートバッグが付く(アイテム2つのデザインが連動)というフェアを、2カ月にわたって実施する。
 
 主人公のキャラクターの強さゆえに、関連商品は絵本の未読者層にまで広がりを見せている。カプセルトイのミニチュアフィギュアが大人気になったことから、11月から2カ月おきに「フィギュア付きミニ絵本」3点の刊行を予定。絵本からモノ(関連商品)≠ヨのみならず、モノから絵本へ$Vたな読者を誘う。
 
 森氏は「全国巡回の展覧会にせよグッズにせよ、原作の世界観を守ることを一番に考えています。フィギュアも、ノラネコぐんだんの大ファンがいるメーカーさんが、高いクオリティのものを作ってくれたからこそ広がりました。工藤さんとは『500年先も子どもたちに愛され続ける絵本を作る』と話しており、今後もファンのみなさんが喜んでくれるものを、と思っています」と意気込みを語る。
 
 

(飯田一史・ライター)

(2020年11月5日更新  / 本紙「新文化」2020年10月29日号掲載)
飯田一史プロフィール
ライター。 文芸とサブカルチャーを中心に取材・執筆を手がける。著書に『マンガ雑誌は死んだ。で、どうするの?』(星海社新書)、『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)などがある。
               
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