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第2回 LINEマンガ
雑誌に代わる作品育成・宣伝メディアに
 2013年にスタートした「LINEマンガ」は、LINEのユーザーベースを生かした継続的な無料プロモーションやLINEでつながる友だちへのシェア機能、スタンプ付きコミックスの販売などを強みに、国内1500万ダウンロードを達成している。
 
 出版社から提供され、毎日入れ替わりでの週次連載形式で配信される無料連載作品は常時200以上。それとは別に、アプリ内の「ストア」とよばれる電子書店ではコミックスの1巻または複数巻無料キャンペーンを随時行っている。これほど大量に無料で読ませるプラットフォームに、しかし版元からのオファーは絶えない。LINEマンガに出せば月間で数十万、数百万人に試し読みされ、今では「LINEマンガで無料で読まれると紙の本も動く」という傾向が顕著になった。
 
 「マクロミルが行ったユーザーのアンケートによると、LINEマンガで無料連載を読んだあと、電子書籍を買った人の約2倍『紙で買った』という結果が出た。今では出版社が、書店での販促に無料連載の開始を告知して活用するケースも増えている。書店から『無料連載が始まるとお客さんからの問合せが増える。それからの仕入れでは売り逃してしまうから、連載予定を教えて』といった要望をいただくことがある」(LINEマンガ 企画担当・村田朋良氏)
 
 ユーザーは女性の方が少し多いが、ヤンキーものやスポーツマンガなどの男性向け作品も着実に売れている。
村田朋良氏
 
 村田氏によれば、初出の連載媒体である雑誌の部数が小さい作品ほど「LINEマンガで初めて知る」ユーザーが多いため、掲載後の反響・売上げの伸びが大きいものが生まれやすい。
 
 紙の雑誌の部数が落ち続け、「会社の規模や雑誌の部数が大きい雑誌で連載すればコミックスも売れやすい」というかつての常識が通用しなくなってきているなか、LINEマンガの連載枠は雑誌に代わる強力な作品育成・宣伝のメディアとして、あるいは中小版元には大きなチャンスを与えるものとして機能する。
 
 LINEマンガを初出の連載媒体とする、講談社「なかよし」編集部と組んだオリジナル連載作品『これはきっと恋じゃない』(3巻で累計10万部突破)や同「Kiss」編集部と組んだ『星までピクニック』などもあり、今後はこのような「LINEマンガ限定連載」も揃えていきたいという。
 
 今や版元だけでなく取次や書店も、LINEマンガの存在を前提にした上で各社戦略を練っているといっても過言ではない状況だ。ただの電子書店という域を超えた、マンガビジネスには欠かせない新たなインフラである。

(飯田一史・ライター)

(2017年1月30日更新  / 本紙「新文化」2017年1月26日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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