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第4回 pixivコミック
「新たな作品生み出す場」/版元と共同レーベルも
 ピクシブが運営する「pixivコミック」は、40社以上におよぶ版元の約130誌1800作品を掲載するウェブコミックプラットフォームである。アプリは150万ダウンロード。ユーザーの80%は女性、うち10代〜30代前半が90%以上を占める。
 
 4コマや短い作品、共感を得やすい作品(恋愛、エッセイ)、つっこみどころがあるもの、共有したくなるもの(ネタっぽいもの、かわいいもの、食事もの)、タイトルから中身がすぐわかるものが読まれやすい傾向にある。イラスト投稿サイトであるpixiv本体は二次創作が多いが、pixivコミックはオリジナル作品が中心だ。
 
 ピクシブはKADOKAWAや一迅社と共同レーベルも展開、pixivコミック上に「ジーンピクシブ」「comic POOL」といったウェブコミック誌を設けている。pixiv内の各種データやコミックス刊行時のウェブ上でのプロモーションを提供する代わりに、単行本売上げをレベニューシェアするモデルだが、早くもふじた『ヲタクに恋は難しい』(累計300万部)などのヒットが生まれている。現在、収益の8割は広告、レベニューは2割。
 
 「電子書籍ストアや一部の版元発マンガアプリは過去の人気作品を再度売ってお金にするのが主目的だと思うが、pixivコミックは新しい作品を生みだす場」(アライアンス統括マネージャー・石井真太朗氏)
石井真太朗氏
 
 紙の雑誌の部数減を補う作品育成プラットフォームとして版元から期待されるが、アプリで作品を閲覧しても初出の媒体名や出版社の名前は目立たず、「単品売り」の様相だ。「ウェブでは雑誌単位で閲覧するページも用意しているが、そこから見る人はほぼいない。若い人はスマホ上でpixiv本体やTwitterなどからシェアされた情報で作品を知ってpixivコミックに辿りつき、ファンになったタイトルを本屋さんに買いに行く。ユーザーにとって本屋さんは未知の作品に出会いたくて行くのではなく、作品や作者を応援するファンアイテムを買いに行く場所。そういう意味で今の時代、色んな作品をバンドリングして有料で売る『雑誌』は厳しい。『ジャンプ』の購読者ですら、その中の一つ二つが好きだから買っている人が多い」。pixivは元々「作家の登竜門として夢見られる場にしたい」というところから始まっており、作品、作家単位でファンづくりを促すのは自然な流れ、との考えだ。
 
 ただ単品推しの裏返しで、書店ではpixiv発作品がまとまって売られておらず、探しにくいという声もある。「出版社をまたいでヒットが出ている以上、今後は僕らで書店と組んで『pixiv発』をアピールし、作家に報いていきたい」
 

(飯田一史・ライター)

(2017年2月28日更新  / 本紙「新文化」2017年2月23日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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