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第6回 マンガボックス
3つの柱でマネタイズ/「着実に当たる作品を」
 1000万ダウンロードを超えたDeNAのアプリ「マンガボックス」は、おもに3つの方法でマネタイズされている。
 
 1つ目は各社から刊行されるコミックスの電子版を売る「ストア」の売上げ。2つ目は講談社マガジン編集部やDeNAが自社で抱えるマンガボックス編集部などが作ったマンガを中心とする、雑誌に近い「連載プラットフォーム」での広告収益。3つ目は、こやまゆかり・草壁エリザ「ホリデイラブ」など自社作品を他社ストアに出したり、映像化などIP活用することでロイヤリティーを得る「コンテンツプロバイダ」としての印税収入である。ストアでの電子書籍販売、広告、印税それぞれの利益はバランスよく配分されている。
 オリジナル企画の立ち上げから、単行本が数巻出て印税が見込めるまでには、3〜5年かかる。「弊社は中長期の時間軸でマンガボックス発のヒットを生み出すことに力を入れている」(「マンガボックス」編集部編集長兼事業部長・安江亮太氏)。
安江亮太氏
 ホームランではなくヒット、というのがポイントだ。
 
 「『進撃の巨人』や『ドラゴンボール』クラスの人気作品は、なかなか狙って生み出せるものではない。マンガボックスのユーザーは男性7割女性3割だが、男性が主に好むホラーやサスペンス、女性が好む恋愛ものなど、着実に当たるカテゴリを中心に作品を展開するのが現在の方針。3年やってきて『この数字がここまで来ていれば紙でも売れる』という指標が見えてきた。そのKPIを目安に編集者も企画を作っている」
 
 同社とNTTドコモの合弁会社が運営する小説投稿サイト「エブリスタ」発の人気ウェブ小説には、ホラーやパニックものが多い。自社でのコミカライズにも力を入れていくほか、クリエイターが自由に作品を投稿できる「マンガボックスインディーズ」から才能を発掘する仕組みも作っている。
 
 すでに実績の出ているオリジナルコンテンツもある。たとえばムサヲ「恋と嘘」(累計90万部)は7月からテレビアニメが放映され、「ホリデイラブ」は「comico plus」や「LINEマンガ」など他マンガサービスでも人気だ。
 
 「ユーザーは『ここでしか読めない強いオリジナルコンテンツがある』場を選び、作り手はより大きなトラフィックや収益が見込める場を発表媒体として選ぶようになる。自社編集部発のヒットにもこだわっていきたいが、そのためにはアプリ全体での盛り上がりも必要。マンガボックスに掲載されれば、紙の雑誌だけでは届かない読者層にも届くため、紙から移籍してきたタイトルがより多くの読者に読まれることでSNSに反響が広がるなど、宣伝効果も見込める。いま作品を提供いただいている以外の版元にも、ぜひ初出媒体として使っていただきたい」
 

(飯田一史・ライター)

(2017年4月3日更新  / 本紙「新文化」2017年3月30日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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