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第8回 ジャンププラス
新人発掘と育成が強み/オリジナル作品の大ヒット目指す
 集英社「週刊少年ジャンプ」編集部内のジャンププラス班が手がけるマンガアプリ「少年ジャンプ+」は、DL数660万、WAU(週間利用者数)が180万前後。収益の柱は、サイマル配信の「週刊少年ジャンプ」(定期購読および1冊ごとの購入が可能)、電子コミックスの単巻販売、一話ごとに買えるコイン制の3本である。自社アンケートではユーザーの約75%が男性。平均年齢は22・3歳だが、ボリュームゾーンは高校生から大学生となっている。
 
 「ジャンプ本誌とは少し違う、新しい読者が入ってきている」(同誌副編集長ジャンププラス担当・細野修平氏)
 
 ジャンププラスの目標はオリジナル作品の大ヒットを出すこと。そのための新人獲得・育成施策に力を注ぐ。アプリ内のマンガ投稿サービス「ジャンプルーキー」では毎月ルーキー賞やジャンプ作家の名前を冠した賞を実施している。「『ジャンプの編集者はちゃんと見てくれる』という投稿者の期待には応えられていると思う」。新人の読み切り作品は商売にはならないが、作家を育てるためにアプリ上に積極的に掲載。読者にとっても連載作品を途中から読むのは大変だから、読み切りを入口としてユーザーになる人もいるという。
細野修平氏
 
 ジャンプ+への投稿から読み切り掲載、そして連載へ、あるいはジャンプ本誌の連載へ至る作家も出てきた。
 
 「マンガアプリの読者の目も肥えてきて、パッと読みやすい短いものやエログロ以外でも、おもしろければ読まれる。うちでは90頁の読み切りでも人気が出たし、今年は初春から新連載を9作品連続で始め、1話目を読み切るとコインがもらえるキャンペーンを実施したが、人気上位作品のジャンルはバラバラ」。
 
 2016年に「終末のハーレム」と「ファイアパンチ」の連載が始まるとWAUが30万〜40万増えた。「おもしろい作品を作ることが、結局一番数字を伸ばす」。
 
 とはいえもちろん、作品づくりのみならず、ウェブ上での拡散を促すため、シェアされた相手がアプリに飛ばすとすぐ読めるようブラウザ版を改修するなど、リクルートした才能を「広める」「売る」ための施策もジャンププラス編集部、販売部、デジタル事業部で連携して行っている。
 
 「『終末のハーレム』はデジタル版は部分的にカラー化したセミカラー版を販売し、紙のコミックスも表紙をジャンプ+で撮影するとカラー版がダウンロードできるようにした。紙が累計43万部、デジタルが23万。それにプラスしてコイン売上げがある。いまやユーザーの読み方、買い方は様々だが、それぞれの読者にとって得になることをしていきたい」。
 
 単巻100万部の作品も遠からず出せる、との自負がある。「新しい作家が来てくれることが僕らの力になる。そのためにもジャンプルーキーを今以上に強化していく」。

(飯田一史・ライター)

(2017年4月24日更新  / 本紙「新文化」2017年4月20日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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