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第9回 マガジンポケット
マガジンの読者増に貢献/新作発表などの独自色が課題
 週刊少年マガジン編集部が手がけるアプリ「マガジンポケット(マガポケ)」はDL300万超、MAU90万。DeNAの「マンガボックス」にもスタート当初からマガジン編集部はオリジナル作品を提供していたが、週マガ掲載作品を読ませるためのアプリとして始めた。サイマル配信でKindleなどでも週マガを配信しているが、マガポケを始めてからも電子書籍版の売上げは落ちていない。
 
 「Kindleユーザーは30代以上が多く、マガポケは10〜20代が8割と、棲み分けている。まったくマンガを読んでこなかった人はあまりマガポケにはリーチしてきていない。実は紙のマガジンから流れてきているというより、紙や電子のコミックスで読む派の人たちが使っている。つまり『マガポケで読んで、単行本を買う』人が多い」(マガポケ編集長・橋本脩氏)。いくつか例外的な作品はあるものの、人気になるタイトルは本誌とマガポケで大きくは変わらない。
 
 アプリ内の売上げは話売り用のポイント課金、電子版の月額定期購読、リワード広告の順に大きいが、アプリで売上げをあげることにはそこまでこだわっていない。現状のマガポケは「マガジンの読者を増やす」ことを目的とした媒体だからだ。
 
 毎日1作品を指定して「読んだらポイントプレゼント」という施策を行っているが、そこではなるべく新人や新連載、あるいはコミックス販売のタイミングに合わせて選んでいるのも、売上げを上げることより作品の認知に重きを置いているためである。
橋本脩氏
 
 「週マガはおもしろいマンガが始まればきちんと1巻から売れる、雑誌のパワーがまだまだある数少ない媒体であり、『人気上位、このマンガは売れなきゃおかしい』と思ったら販売部も編集部も死ぬ気で売ろうとする。ただ紙幅があるので20数タイトルしか入らない。
 なかには電子との相性なども考えると『紙のマガジン誌上よりもマガポケに戦場を移した方が戦える、売れる』と思う作品もある。そういう作品については移籍してもらう。売るための取組みを本気でやって、結果、紙の単行本も売れ始め、マガポケを引っ張ってくれる作品になったケースもある」
 
 マガジン本誌、別冊、マンガボックスと新作発表の場はすでに十分あるため、デジタルボーンの作品を発表する場に飢えているわけではない。ただ、アプリ初出の新作がないことがユーザー数を伸ばそうとする際にネックになっているのも事実だ。
 
 「『マガジンがアプリで読める』ことにメリットを感じているユーザーを裏切るつもりはなく、ユーザーインターフェースをシンプルにしつつ拡張していくことはもちろんやる。ただそれとは別に、『マガポケ』独自の方針を打ち出していく必要がある。その時期は、そう遠くないところに迫っていると、個人的には考えている」

(飯田一史・ライター)

(2017年5月15日更新  / 本紙「新文化」2017年5月11日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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