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第10回 めちゃコミック
他社と一線を画すラインアップ/マンガ初心者の女性が読者
 「めちゃコミック」を運営するアムタスは、電子書籍配信サービスの収益が前期比約20%の成長で2015年度は売上高165億7000万円。電子コミック市場の10%前後のシェアを占める。ひと月のサイト訪問者は約1000万人、有料会員は100万人。アプリは作らずウェブのみで展開し、AppleやGoogleにフィーを持っていかれない分を継続的なテレビCMや大量のウェブ広告に使ってさらにユーザーを開拓、有料会員数・課金額をともに伸ばし続けている。
 
 「ウェブ広告は様々なアプローチでとにかく数を打ち、高速でPDCAを回している。ユーザーに刺さるタイトルが出てきたら作品紹介のランディングページに作家の情報を増やしたり、世界観を伝えるように見せたりと、大きく展開している」(ネットサービス第一事業本部・平田晋三本部長)
 
 元々TLやBLなどが強く、他社より先行で読めるものやめちゃコミック独占のキラータイトルもあるが、近年は一般向け作品の取扱い量が増え、そちらの伸びが著しい。女性ユーザーが多いため、たとえば「コウノドリ」といった出産もの、「ちいさいひと」は子育てもの、初出媒体が男性向け青年誌だろうと関係なく支持され、ランキングには他の電子書店とは一線を画するラインアップが並ぶ。
 
 めちゃコミックのサービスとしての特徴は、ガラケー時代から続く、コマ単位で表示する独自ビューアと、最低300円からの月額課金で先払いしたあと、1話ごとにポイントを使って購入する仕組みだ。利用者の中心は、広告をきっかけに流入してきた「今までマンガをほとんど読んだことがなかった女性」。そのほとんどがクレジットカードではなくキャリア決済を利用している。「マンガ雑誌もコミックスも読んでこなかった人たちに、いきなり1冊数百円を払って読んでもらうのはハードルが高い。1話30円〜50円という単位で読んでいく方がライトユーザーには心理的な抵抗が少ない」。
 
 月額課金は解約しない限り自動更新される。はじめは無料の試し読みで気になった特定作品の続きを読むために有料会員になったとしても、その後は月初に新規で追加されたポイントを使うために「つまみ食い」的な読み方が発生する。そこでランキングやタグ、スタッフによる「メガネ男子」「壁ドン」といった切り口による特集、属性や履歴によるレコメンドなどを駆使して、特定作品の目的買いではない読書を促す。
 
 「めざしているのは雑誌のような読み方。これまでマンガのおもしろさに気づいていなかった人たちに色々な作品に出会う機会を提供することで、マンガ市場、電子書籍市場全体のパイを広げたい」

(飯田一史・ライター)

(2017年5月30日更新  / 本紙「新文化」2017年5月25日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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