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第11回 レジンコミックス
ウェブトゥーン化して海外配信/売上げの7割オリジナル作品
 日本、韓国、英語圏でウェブトゥーンを展開するレジンエンターテインメントのウェブコミックサービス「レジンコミックス」。ウェブトゥーンとは、デジタルデバイスで縦スクロールしながら読むことを前提に制作されたマンガである。
 
 「多くの電子書籍や日本のマンガアプリで採用されているページ形式だと、1ページを1画面に収めないといけないため、読みにくくなる。弊社はコミックス化による収益化を優先するより、スマートフォンで読みやすいUIと演出、続きが気になるストーリー展開、描き込みのしっかりした絵を高解像度で配信し、お金を出してでも読みたいものを提供していく」(チーフプロデューサー・イスンハン氏)
 
 純粋にコンテンツが楽しめる場にするため、広告は入れない。以前は「ウェブトゥーンは無料(=広告によるマネタイズ等)」というのが当たり前だったが、レジンが2014年に有料の話売り販売を始めて成功させ、韓国や日本で同様のモデルが広まった。レジンの作品は、一度課金すれば何度でもストリーミングで読めるようにしており、所有欲求も満たす。
 
 日本のユーザーの男女比は6対4。年齢のボリュームゾーンは25〜34歳。全年齢向けアプリもあるが、現在は大人向けコンテンツも配信するブラウザ版のユーザーが多い。各出版社の作品も配信しているものの、ここでしか読めないレジンオリジナル作品が約200あり、売上げの7割はオリジナルが占める。
イスンハン氏
 レジンは作品の質向上のために編集者と作家が綿密なやりとりをすることも特徴だ。
 
 ブラウザ版では青年系(ソフトアダルト)が目立つが、それ以外でも日本ではファンタジー、アクション、ドラマが、北米ではBLやGL、アクションものなどが支持され、韓国ではジャンルを問わず人気作品がある。
 
 「世界マンガコンテスト」というグローバルに応募を呼びかけ、プロアマを問わない賞を毎年開催し、デビューした新人には人気になった日本人作家もいるほか、白泉社などで描いてきた作家が連載を始めたケースもある。
 
 15年にはフジテレビ系ドラマ「昼顔〜午後3時の恋人たち〜」をウェブトゥーン化して注目を集めたが、逆にレジンコミックスオリジナル作品の映像化も考えている。
 
  また、オリジナルに力を注ぐ以外に日本の版元の作品も一部、韓国語に翻訳して配信しており、目下取引先を拡大中だ。「ウェブトゥーン化して海外配信をすると謳う他社には、カラー化やローカライズ(翻訳)の質が低いところもある。弊社はコストをかけてきちんとしたものにする」。
 
 デジタルで制作からマネタイズまで完結させたビジネスモデルを成立させるための、徹底した面白さと質へのこだわりで拡大を目指す。
 

(飯田一史・ライター)

(2017年6月5日更新  / 本紙「新文化」2017年6月1日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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