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第12回 comico
双葉社や一迅社と書籍化/韓国・台湾・タイでもサービス展開
 NHNcomicoが手がけるcomicoは国内累計ダウンロード数1400万、WAU300万を誇る。完全無料で何度でも読めることがウリだったが、2016年11月に先読み有料話の追加、レンタルチケット制を導入してリニューアルした。
 
 「もともと周知のために無料で始めたもので、アプリで収益化をめざすことはサービス開始当初からの目標。一部有料化によってアクティブユーザーは若干減ったが、作品の力で徐々に戻ってきている」(大里卓也編集チームマネージャー)
 
 以前は学園ものがランキングの上位を占めていたが、チケット制導入後はストーリーが重厚なものが人気上位に浮上。1話完結型の連載作品よりも、引きの強い終わり方をするものが伸びている。ユーザーのボリュームゾーンは10代、20代で男女比は4:6だが、課金の勢いは男性の方がある。
 
 レイティングが12+(12歳以上)のcomicoよりも対象年齢を高く設定した兄弟的なサービス「comicoPLUS」(17+)も手がける。こちらはフルカラー、縦スクロール形式に再構成した他社版元の作品や、青年誌的な内容のオリジナル作品を配信している。今年に入り、PLUSのオリジナル作品を一部comicoで配信し始めたが、反響は大きい。
大里卓也氏
 
 ランキングは閲覧数、応援ポイント、売上げなど、複数のデータを元に組み合わせたアルゴリズムで決めている。
 
 「作家に原稿料と別途で支払うインセンティブも、売上げだけでなく多角的に判断し決定しており、その中には『どれぐらい読まれたか』も含まれている。アプリを立ち上げる動機になる作品があることは、comicoをより深く知ってもらえるきっかけにもなる」
 
 アプリ内の収益向上を第一に目指すが、書籍化も自社および双葉社や一迅社などと手がけている。
 
 「アプリで人気のある作品はもちろん、ユーザーの声なども参考にしながら書籍化を行っている。以前、版元ごとにコミックスが置かれる棚がバラバラで『見つからない』という声があった。アプリ内に品番や表紙がわかる特設ページを作って、それを見せれば書店員が探せたり、書店注文ができるページを用意するなどの工夫を行っている」
 
 またcomicoは韓国、台湾、タイでもサービスを行い、現地の作家を発掘して作品を掲載、各国の人気作品は相互に翻訳されている。日本のcomico PLUSやcomicoにも転載されている『復讐は知らないうちに』は台湾作家が描いた作品だ。
 
 「国によってコマの描き方の特徴は違う。日本の作家は紙のマンガの影響がまだまだあって絵を画面に収まるように縮めて描く傾向にあるが、韓国の作家は余白を多く使って、目に入るコマをひとつに集中させる。そういうセンスの違いには驚かされている」
 
 今後は、comicoノベルの人気作品を原作としたコミカライズなどを計画している。
 

(飯田一史・ライター)

(2017年6月19日更新  / 本紙「新文化」2017年6月15日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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