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第13回 ピッコマ
待てば0円、フリーミアム/ライトユーザーにマンガの楽しさを
 カカオジャパンが運営するマンガアプリ「ピッコマ」は2016年4月にサービスを開始し、日本の版元のマンガや韓国ウェブトゥーンのローカライズ配信を手がける。
 
 キム・ジェヨン代表が同社に加わったのは約2年前だが、06年にNHN Japan(のちにLINEやNHNcomicoなどへ分社化)に入社し、Hangame、LNE、comicoなどを担当してきた。
 
 ピッコマの特徴は、話売りの「待てば¥0」という仕組みだ。
 
 「ゲームビジネスで証明されている〈フリーミアムモデル〉(基本無料、部分課金)を応用した。時間が経つと回復するハートを使って短いステージをいくつもプレイしていくが、早くやりたくて課金するのはゲームでは当たり前。マンガが1話ずつ読め、マネタイズポイントも1話ごとにあるのも同じ発想。単行本が1巻無料で試し読みでき、2巻目を買いますか? と一度だけ訊かれるより、1話ごとに訊かれる方が離脱率は低減し、おもしろい作品は課金してでも読みたくなる」
 
 他社の話売りと決定的に違うのは、1作品ごとにデータに基づく運用をしていることだ。
キム・ジェヨン氏
 
 試し読みが無料でできる話数や1話読んだあとの無料チケットのチャージ時間は作品によって異なる。また、作品を読むためのチケットはその作品にしか使えず、1作ごとに1話の値段も違う。
 
 「ほかのストアで売れていなかった作品がピッコマで売れるのはなぜ? とよく聞かれるが、運営の力。たとえば、同じ作品でも表紙のサムネイル画像によってクリック率が全然違う。とにかく細かく見ながら、どんなユーザーにどんなタイミングでどの作品をどうプッシュするかを決定しているのが強み」
 
 「誰々先生の新作だから読もう」というタイプのコアユーザーではない、漠然と「おもしろいものが見たい」と思って来るライト層に旧作を届けることには成功している。
 
 「双葉社『恋空』のマンガがピッコマでは今売れている。有名なタイトルでも、一昔前の作品だと知らない人たちは多い。でも、おもしろければ届く」
 
 今後は版元と組んでピッコマでのオリジナル連載作品をスタートするほか、日中韓で人気コンテンツを相互翻訳したり、韓国で買収した音楽や芸能のプロダクションLOENを使って中韓でのドラマ化など映像展開も視野に入れる。
 
 「我々は出版社になりたいわけではない。編集者を数人スカウトして内部で作っても限界がある。マンガづくりは出版社が行い、カカオは販売し、データ分析を提供するパートナーになる。そして投資を共同で行い、グローバル展開をめざす。そして今までマンガから離れてきたライト層のユーザーにマンガの楽しさを感じさせることにより、スマートフォンでマンガを読む習慣を作ることでマンガ業界をより盛り上げていきたい」
 

(飯田一史・ライター)

(2017年6月28日更新  / 本紙「新文化」2017年6月22日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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