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第14回 フーモア
マンガ活用した広告制作が主力/中国など海外展開も視野に
 フーモアは「クリエイティブで世界中に感動を」をビジョンに、クリエイティブを〈創る〉こと、その出口を世界に広く〈届ける〉ことをミッションに掲げる。その〈創る〉という事業で、広告を軸にしたBtoBマンガ制作ビジネスで注目を集めるベンチャー企業。マンガそのものを商品として売るのではなく、何かの手段としてマンガを活用したい企業などから制作や運用を引き受けるモデルだ。
 
 代表的なものが「マンガ広告」。ウェブやアプリ上に表示されるネイティブアド(いわゆる記事広告などが該当)の形態を取った、ソーシャルゲームや保険商品、自治体を「宣伝するマンガ」の制作を請け負う。ゲームの世界観や内容を紹介した広告マンガは、たとえば「マンガボックス」上でほかのマンガと並べて展開された。
 
 2015年から始めたマンガ広告だが、手がけた本数はすでに4000以上。自社でイラストレーターやマンガ家、シナリオライターなどのクリエイターを30人弱抱えるほか、クラウドソーシングのかたちで取引する外部クリエイターが約6000人いる。
 
 「さいとう・たかを先生のさいとうプロダクションのような分業体制でマンガ制作をしている。講談社のボンボンTVではウェブ上で毎日連載のマンガがあるが、それも分業だからできている」(芝辻幹也社長)。
 
 動画を使った宣伝をしたくとも予算が合わないときや、撮りたい画があっても撮影のロケーション確保が難しい場合に、マンガはイメージを伝えやすく、費用対効果もいい。加えて、キャラクターの場合はタレントと違ってスキャンダルが基本的に起きない。「版元の持つ有名作品のキャラクターを使ったプロモーションは増えています」。
 
 フーモアは、広告代理店からの「先生に描き下ろしをしてほしい」、「あのマンガのこのコマを使わせてほしい」、「先生の絵に似せて描いたものを使わせてほしい」といった要望を、仲介役となって版元と折衝し、一部制作を請け負う事業も展開している。
 
 「広告制作は工程がややこしい。版元さんの編集者が忙しいなか対応するのは難しく、といって広告やマンガの制作過程を理解されていないライツの方が担当するのも難しい。そこで広告とマンガの作法が両方わかる弊社に一任されるケースが多い」
 
 企業の出す広告予算のデジタルシフトが進むなか、デジタルコミックの活用はまだまだ増える、との読みだ。
芝辻幹也氏
 
 「ツイッターなどのSNSでは絵や4コママンガとの相性がいい。いまどきCMなどを単発で打つだけのキャンペーンでは効果が出にくい。シェアされやすいマンガを作り、継続的に打っていった方が認知度やロイヤリティが高まりやすい。弊社ではいま訪日観光客を誘致するためのツールとして、中国国内でもマンガを使った取組みに参加している。ほかにも様々な手段で、マンガの活用および海外展開を仕掛けていく予定だ」 
 

(飯田一史・ライター)

(2017年7月3日更新  / 本紙「新文化」2017年6月29日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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