出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第15回 ツイ4
Twitter上に4コママンガ/ファン独自のコミュニティ形成
 星海社の「ツイ4」はストーリー性のある続きものの4コママンガを毎日1話(1ページ)ずつ連載。Twitter上での閲覧を主軸に、ブラウザやアプリでは第1話から最新話まで無料で見ることのできるサービスとして、常時7〜8作品を配信し、PVは月間800万を超える。
 
 「他社のウェブマンガは自社サイトやアプリが『主』であって、Twitterはそこへの導線を作る『従』の機能しか果たしていない。ツイ4は完全に逆。Twitter上で読んで、おもしろいと思ったらリツイートやファボ(ハート)を押せばすぐにシェアできる。Twitterでの影響力が大きくなればなるほど、リンク先の弊社ウェブサイトも読んでくれるという構造」(ツイ4・岡村邦寛編集長)
 
 通常の正方形の4コマではなく横長のワイド4コマにし、サイト上では連載の過去回もすべて公開、縦スクロールしていけばサクサク読めるなど、スマホ閲覧を前提とした環境づくりを徹底している。Twitterのフォロワー数は20万、月間インプレッションは1億を超える。
 
 一部広告も挿入しているが、収益のほとんどは描き下ろしを加えた紙の単行本からである。『女の友情と筋肉』は6巻で50万部超を発行するほか、『トモちゃんは女の子!』、『妄想テレパシー』などのヒット作がある。ユーザーは18歳〜24歳が63%、25歳〜34歳で27%と若く、男女比はほぼ半々。
 
 Twitterのリプライ欄を使って、ファンが気の利いたコメントを大喜利さながらに言い合うことを競う、独自のコミュニティが形成されているのが特徴だ。
 
 ツイ4はほとんどの作品をTwitter上で毎日更新しているため、日次でリツイート数やファボ、リプライ(コメント)の数(人気)が作家にも読者にも明示されることで、作品間の競争意識が醸成される。週刊少年ジャンプのアンケートシステムを、よりラディカルにしたようなものだといえる。
 
 「この仕組みは読者と作家が“ゼロ距離”。人気が出ないときは毎日数字ときついコメントを突きつけられるのでしんどい。ただ、火がつけば読者からめちゃめちゃ反応があるので、作家も勢いがついておもしろいものを描き、さらに反響が来るというグッドサイクルができる。それが単行本の部数にも跳ね返り、書店で動くとTwitterでの反応がますます伸びる」
岡村邦寛氏
 
 さらに、Twitterは読者が付けたリプライにも相互にファボが付けられる仕様だったことにより、読者同士が競いあう状況ができたのだ。
 
 LINEマンガやpixivコミックの台頭で作品の「単品売り」化が進み、版元や雑誌、レーベルの「ブランド」を活かして売ることが難しくなっているなか、ツイ4は新興にもかかわらず「個別の作品のファン」のみならず「ツイ4のファンコミュニティ」を作り、新人や新作への注目度を高めることに成功している、きわめて稀有なサービスである。

(飯田一史・ライター)

(2017年7月10日更新  / 本紙「新文化」2017年7月6日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
購読のお申込は
↓コチラから↓
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社