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第16回 アルファポリス
異世界ファンタジー系ウェブ小説をマンガ化/30〜50代男性が8割
 ウェブ小説投稿サイト兼書籍化版元の雄・アルファポリスは、小説事業の競争激化とゲーム分野への投資がかさんだことで、2016年度は初の前年度比で減益となった。しかし、14年から本格スタートし、「将来の書籍化の基礎」と位置づけるウェブマンガ事業は堅調に伸びている。
 
 同社のウェブサービスやアプリのユーザーおよび書籍購買者は30〜50代男性が8割を占め、16年に開始したアプリよりもまだPCからのアクセスが多い。アプリは30万DLほどだが、アプリとブラウザ版を足し合わせたMAUは200万人前後。
 
 「女性向けファンタジーのレーベル『レジーナ』のコミカライズも始めたことで女性の10代〜20代ユーザーが劇的に増えてきた」(編集二部・柏木誠部長)
 
 現在の主力は同社が書籍化した、異世界ファンタジー系ウェブ小説をマンガ化したものだが、自社のマンガ投稿サービスからリクルートした描き手に、新しいユーザー向けのオリジナル作品を担ってもらうことを視野に入れている。
 
 「マンガ投稿者に対する評価シート制度を導入したが、編集者から受けた指摘を直して再投稿してくる人もいて、伸びてきた人はスカウトしている。編集者が、その媒体についている読者層の特徴、何を求めているかをアドバイスすることによって描き手は伸びる。うちでいえば、単純な勧善懲悪ものはウケない。大人なしぐさや悩みを入れると支持される傾向にあるといったことを伝えている」
 
 同社のコミックスは初版1万8000〜2万部で消化率8割以上の作品が多い。『とあるおっさんのVRMMMO活動記』(累計47万部)、『Re:Monster』(同50万部)、『詐騎士』(同31万部)、『さようなら竜生、こんにちは人生』(同20万部)といったヒット作も出始めた。
 
 部決には、原作小説の部数はもちろん、PVの数や増減のトレンド、ユーザーの滞在時間などを組み合わせた指標を使用している。「毎話600〜1000前後のアンケートが返ってくるが、読んですぐの生の感情が入っているため、非常に参考にしている。単純にPV数が多い作品よりも、一手間かけて答えてくれる方の多い作品のほうが安定して売れるという印象」。
柏木誠氏
 
 アンケートなどを手がかりにすると、おそらく6割くらいがウェブでもともと読んでいた人だという。「うちは新興なので、書店で初めて知った人に買ってもらうための施策が課題」。アルファポリスのコミック棚がようやくできてきた段階のため、コミックスをパッと見たときに「異世界ファンタジーもので、こういう設定」といったことが読者にすぐわかるデザインを方針としている。
 
 「今後は新しいユーザーの要望に応えるために、恋愛やスポーツものなどのオリジナルタイトルも積極的に手がけていきたい」

(飯田一史・ライター)

(2017年7月24日更新  / 本紙「新文化」2017年7月13日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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