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第17回 GANMA!
ウェブで描くマンガ家を「子どもが憧れる職業」に
 インターネット広告関連事業を主に手がけるセプテーニ・ホールディングズ傘下のコミックスマートが運営する「GANMA!」。2017年7月現在で約700万ダウンロードだが、テレビCMなど大規模プロモーションを打ち、9月末までに1000万DLを目指す。ユーザー層は10〜20代が中心。収益の大半が広告というのが特徴だ。
 
 「弊社は多数のアクティブユーザーを抱える『広告メディア』として企業様のプロモーション支援を行う広告モデル。その他、ユーザーからの課金や単行本、グッズの販売を行い、今後は映像化など自社IPの2次展開から得られる収益も徐々に大きくしていきたい」(上河原圭二取締役)
 
 100万超のアクティブユーザーのいる「リセット・ゲーム」などの人気作品のキャラクターをタレントのように使って商品をプロモーションする「キャスティング広告」は、通常のバナー広告より高い効果をもたらすという。
 
 「基本思想は『広告もコンテンツ』。マンガを読み終えたところやコメント欄に表示される広告も、ただ入れるのではなく、クライアントからいただいた素材をもとに弊社で1枚1枚つくり、読者が広告も楽しんでもらえるよう、クリエイティブも工夫している。また、マンガアプリのトンマナに合わせる配慮も徹底している」
 
 GANMA!では派手な色味のアダルト広告が突然ポップアップで表示されるようなことがなく、ユーザーにとっても、広告主にとってもストレスがない環境づくりを徹底する。
 
 「今はゲーム会社などウェブ上でサービスが完結する企業が多いが、食品や飲料メーカーなど、若いユーザーに訴求したいナショナルクライアントに向けての広告商品作りもはじめている」
 
 上河原氏は「マンガにおける『ヒット作』の定義が変わる時期である」とも語る。これまでは単行本の部数に重きが置かれてきた。だが、マンガ作品の有料販売を主とするのではなく、マンガを使った広告ビジネスを軸にするならば、閲覧数やアクティブユーザー数、コミュニティの規模や熱量をあらわすコメント数やコメント欄の閲覧なども含めた回遊時間を組み合わせたものが指標になってくる。「新たな指標ができることで、これまでとは違うタイプの作品にも光が当たるようにしたい」。
上河原圭二氏
 
 GANMA!では契約した作家に対し支援金というかたちで毎月定額を支払っているほか、広告収入も還元しており、月収100万円を超える専属作家も出始めている。
 
 「紙の単行本からの収益がなくともスマートフォン上のマンガ中心に作家が生計を立てられるモデルをつくり、さらにはプロ野球選手並の年収3000万円プレイヤーを出し、ウェブで描くマンガ家を〈子どもが憧れる職業〉にするのが目標」

(飯田一史・ライター)

(2017年7月31日更新  / 本紙「新文化」2017年7月27日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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